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光一
「……………………」 |
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鳴島
「清香は頭が良いよね〜」 |
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清香
「お姉ちゃんは巨乳で可愛いよねえ」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「なんですかぁ、マスター、その視線は」 |
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光一
「いや、私から提案しておいてなんだけど……
傍目に見て可哀相というか、
気持ち悪いというか…………」 |
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鳴島
「なんですか、失礼ですねぇ!
『お互いをほめてみて』
って言ってきたのはマスターですよぉ」 |
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光一
「いや、人をほめるって難しいなと思わされた」 |
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鳴島
「ったく、何でこんな事をさせますかねぇ」 |
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光一
「いや、先日の話なんだけど…………
女性のドコをほめるとモテるか?
って話になったのよ」 |
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清香
「男同士飲み屋でするような話ですね」 |
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光一
「いや、キックボクシング中に
20代前半の女性としたんだけど」 |
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鳴島
「マスター…………」 |
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光一
「な、なんだね?」 |
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鳴島
「いくらモテたいからって……
女性に直接的に聞くのはいかがなものですか?」 |
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光一
「私から積極的に聞いたわけじゃない。
向こうから聞いてきたんだよ」 |
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鳴島
「清香、どう思う?」 |
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清香
「うそ発見器が必要かなと」 |
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光一
「ちょっと、信じてよ。
本当だってば」 |
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鳴島
「まあ、話が進まないので、
一応信じた形にしておきますよぉ」 |
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光一
「それって信じてないってことじゃん」 |
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清香
「で、なんなんですか?」 |
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光一
「っ……と、まあいいよ。
『合コンで女性からモテる方法』
っていうのをテレビでやってたんだって」 |
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鳴島
「まあ、そんなのでモテるなら」 |
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清香
「簡単な気もしますけどね。
女子を甘く見てませんか?」 |
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光一
「まあ、そうは私も思うが…………
Sさんの話によると、
『女性のくちびるをほめる』
と、モテるとかテレビでは言ってたんだと」 |
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鳴島
「くちびるを……どうほめるんですかねぇ?」 |
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光一
「さあ」 |
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清香
「そんな事で簡単にモテますかね?」 |
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光一
「さあ…………
ってわけでその日の内に、
同じキックボクシング仲間のKさんに
早速実践してみた」 |
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鳴島
「はあ?」 |
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清香
「Kさんって、マスター好みの女性という事で、
前から何回か話題に出している女性ですよね。
『Kさんを、ストーカーしててゾクゾクします』
って劇的告白をした女性ですよね?」 |
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光一
「そこだけかいつまむと、
私が変態みたいだからやめて」 |
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鳴島
「変態は自分の事を変態と認めない……」 |
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光一
「いや、私は変態じゃないから!!
と…………毎週2回、キックボクシングで会ってるんだけど、
会うたびに頑張って話して、
信頼関係を構築しているんだよ」 |
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鳴島
「その先に何を求めてるんですか?」 |
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光一
「巨乳のKさんの私に対する好感度」 |
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鳴島
「マスター、妻帯者でしょうよぉ!」 |
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光一
「世の中の多くの人はこれだから……
常識にとらわれ過ぎて」 |
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鳴島
「マスターのそれは常識ではなくて、
倫理観の問題だと思いますがぁ?」 |
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清香
「で、Kさんを口説き落とせたんですか?
そのモテるトーク方法とかで?」 |
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光一
「いや……ダメだった」 |
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鳴島
「ほら、マスターなんてそんなものですよぉ♪」 |
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光一
「逆にね…………
『光一さんって、カッコいいですね』
って言われちゃって…………」 |
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鳴島
「そうでしょうそうでしょう…………
はあ!?」 |
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光一
「Kさんをモテトークでノックアウトするつもりが、
私がKさんのトークで胸キュンさせられた」 |
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鳴島
「マスターが…………」 |
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清香
「カッコいい!?」 |
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光一
「なんでそこに疑義を呈するの? 被雇用者」 |
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鳴島
「いや、だって……ねえ?」 |
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清香
「まだ風俗の女の子に手を出した……
とかの方が現実味があったというか」 |
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光一
「私の嫁と並んで君たちまで、
私に対する評価、そこまで低いの!?」 |