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光一
「いやぁ…………
人生って本当に何が起きるかわからん」 |
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鳴島
「お?
どうしました、今回は?」 |
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光一
「何ていうかね、
人間生きているとさ、
嫌なことも良い事も色々あるじゃない」 |
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鳴島
「まあ、一般的にはそうですねぇ。
人生楽ありゃ苦もあるさ……っと」 |
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光一
「できれば嫌なことってのはさ、
忘れたいものじゃない。
そうじゃないと、生きてく上で
心が苦しいからさ」 |
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鳴島
「まあ、苦しいことはそれなりに、
糧にもなりますけど……
いつまでも引きずっていると、
やっぱりツライですからねぇ」 |
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光一
「で、綾香君……覚えているかもだけど。
私さあ、2004年の6月に新車買ったよね?」 |
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鳴島
「えーと…………
確か、新車でホンダ社のライフ
買ったんですよねぇ?」 |
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光一
「そう。
それ以前は中古車で、
そのとき初めて新車だったのよ」 |
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鳴島
「マスター、無茶苦茶気に入って、
ライフの虜になっていましたよねぇ♪」 |
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光一
「でもねえ、ほら…………」 |
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鳴島
「あっ!
そういえばぁ…………」 |
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光一
「あの新車で買ったライフさあ、
買ってからピッタリ1週間で
盗まれちゃったじゃない……」 |
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鳴島
「そういやそうでしたねぇ……」 |
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光一
「走行距離もまだ440キロでさあ、
慣らし運転も終わってなかったのにね。
新車の匂いも充満していたし……」 |
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鳴島
「あー……あれはホントに、
マスター落ち込んでいましたよねぇ」 |
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光一
「まあ、ライフは気に入っていたから、
半年後に、またライフを新車で購入して、
それで現在2006年に至るんだよ」 |
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鳴島
「そういえばそうでしたぁ……
私も忘れかけていましたよぉ……」 |
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光一
「いや、私も覚えてはいたけど、
日常で意識はしなくなってたのよ。
2年半も前のことだしねえ」 |
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鳴島
「あれ?
じゃあ何でまた急に、
前に盗まれた車の話を?」 |
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光一
「そのライフなんだけど、
ホンダから書類が着てね……
不具合があるから、リコール作業するって」 |
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鳴島
「あらぁ……技術のホンダが不具合ですかぁ。
リコールというと…………?」 |
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光一
「まあ、車の部品を交換するって事で、
この前行ってきて、
問題の部品を交換してもらったの
あ、リコールだから当然タダで」 |
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鳴島
「なるほどぉ」 |
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光一
「で、ホンダから来た書類には、
私の車のナンバーが書いてあるのね」 |
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鳴島
「まあ、そりゃそうですよねぇ」 |
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光一
「で、その書類を見せてリコール頼んだんだけど」 |
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鳴島
「だけど?」 |
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光一
「その書類ってのが、
何故か私には2通来てたの」 |
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鳴島
「ふぇ?
また何で?
マスターが現在乗ってるのは1台……」 |
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光一
「しかも、ライフのリコールだからさ、
これだと…………」 |
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鳴島
「マスターが現在、
2台のライフを持っているってことに……
なりますよねぇ?」 |
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光一
「でも、書類見て…………
何で2通来たか分かったのだよ」 |
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鳴島
「あっ!!
さっきまでの話からして……」 |
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光一
「1通の書類は、
現在使ってるライフのナンバー……
もう1通はね……
2年半前に盗まれた……
現在行方不明の
ライフのナンバーだったのさ」 |
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鳴島
「うわぁ……それはぁ……」 |
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光一
「あの…………
悔しくて辛かった出来事を、
また見事に思い出させてくれたわけ……
つーか、車番なんて完全に忘れてたぞ」 |
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鳴島
「不具合出たからリコール……
ってだけでも良い事じゃないのに……」 |
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光一
「それでまた、
以前盗まれた車の事思い出すとはねえ」 |
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鳴島
「人生ホント…………
何が起こるか分かりませんねぇ」 |
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光一
「いやぁ……まったくだよ……」 |
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鳴島
「ホンダ社からすればぁ、
購入1週間で盗まれた車の方も、
マスターが購入した記録があるから、
マスターの車……ってなってるんですねぇ」 |
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光一
「そういうことだよなあ。
もう私の手元にはないのにねえ……」 |
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鳴島
「嫌な出来事は、
ホント、唐突に思い出させられますねぇ。
ご愁傷様ですぅ…………」 |