12/18(土)

ホントに間違えたんですかぁ?


鳴島

「で、実際のところはどうなんですかぁ?」
光一

「ワザとじゃない!!

疲れ果てていただけだ!!

それで注意力が散漫になっていたというか……」
鳴島

「ふ〜ん……

こちらでも、

間違えて女子トイレに入った……

とか言ってましたよねえ?」
光一

「あれこそ、本当に間違えたんだ!!

意図的に入ったら犯罪だろうが!!
鳴島

「ふ〜ん……」
光一

「だ、大体だなあ……

トイレにカギをかけていない綾香君も悪い!!」
鳴島

「ちゃんとノックして確かめなかった

マスターが悪いですぅ!!」
光一

「カギが壊れたことを報告しなかった

綾香君が悪い!!」
鳴島

「マスターが悪いですぅ!!」
光一

「いいや、綾香君だ!!」
鳴島

「トイレに入って、

私の事ずっと見てましたよねぇ?」
光一

「まさか綾香君が用足ししていると思わんだろ?

こっちも動転して固まっちゃったんだよ!!」
鳴島

「う……見られた……

ふ、ふええええぇぇぇ
光一

泣くなよ!!

私の方が泣きたいよ……」
鳴島

トイレ入ってるトコ見られて……

もうお嫁に行けないよぅ……
光一

「だあー!!

こっちだって見たくて見たわけじゃない!!」
鳴島

ふえぇぇぇぇぇん!!
光一

「う、うわ……泣くな泣くなよう。

あー、困った……どうすりゃいいんだ……」
鳴島

「えっぐえっぐ……」
光一

「あ、あー……

えっとえっとだなあ……



綾香君。



黒パンツとはやるね♪
鳴島

「ま、マスターの大馬鹿ぁ!!





バチーン!!





光一

「うおぅ……

綾香君のビンタ……

手首のスナップが効いてて痛えー!!」
鳴島

ふえーーーん!!
光一

「あ、あわわわ……す、スマン!!

こ、混乱していてワケのわからないことを……」
鳴島

「くすんくすん……」
光一

「え、えーっと……

きゅ、給料上げようか?」
鳴島

「……ピク……」
光一

「時給が50円アップ……」
鳴島

「…………」
光一

「なんと950円……月間1万3000円アップ♪」
鳴島

「…………」
光一

「まかない料理に、

なんと、パフェかケーキもつけてあげよう」
鳴島

「…………。

……ふう……仕方ないですねぇ。

それなら勘弁してあげますぅ♪

まあ、見られたって言っても、

見た人がマスターですからね……」
光一

「それってどういう意味?」
鳴島

「……マスターのそういう鈍いところは嫌いですぅ」
光一

「ま、まあいいか。

では、これでこの事件は無事解決ということで」
鳴島

「ま、そういうことでいいですよぉ♪」
光一

「じゃあ、今日別に話したいことがあったので、

そちらに……

まあ、こっちが本題だったのだが
鳴島

「ん? なんですかぁ?」
光一

「えっとねえ……

今月の『綾香による損害ノート』なんだけど」
鳴島

「はい?」
光一

「綾香君、

この前、冷蔵庫壊したよね。

まったく……」
鳴島

「あ、あう……あ、あれは……」
光一

「問答無用。

プライベートはプライベート。

仕事は仕事。

仕事には責任持ってって言ったよね?
鳴島

「は、はい。

でもぉ……」
光一

君の給料から、

冷蔵庫代15万円引かせていただきます
鳴島

そ、そんなー!!
光一

「で、先月

『向こう三ヶ月の給料を半分にする』

と通告したの覚えてるよね?」
鳴島

「は、はい……」
光一

「てことは、

通常は23万4000円だから……

11万7000円……

そこにアップ分の時給プラスで13万円。

冷蔵庫代は向こう二ヶ月で払っていただく」
鳴島

そ、そんなのヒドイですぅ!!
光一

「ひどくない!!

君が壊したんだろうが!!

それ以外にも色々あるんだぞ。

そっちは免除してやるから、

これくらい払いなさい!!」
鳴島

「ううう……」
光一

「てワケで、

今月と来月は給料5万5000円ね♪
鳴島

それじゃあ、生活できませんよぉ!!
光一

「何を言うか。

そもそも私の家に住み込みで、家賃・光熱費タダ。

メシ代もまかない料理でタダ……

生活費ゼロでも実際暮らせるだろうが!!」
鳴島

「そんなあ……」
光一

「実際の生活は、

私が面倒みてるんだから、いいだろうが。

実質給料は、

多分40万以上払っているはずだぞ!!

本来ならあるべき家賃とか光熱費とか食費とか……」
鳴島

「ううう……」
光一

今度は泣いてもダメ!!

私は仕事の面では容赦しないよ
鳴島

マスターのバカぁぁぁ!!





ドスッ!!





光一

「うぐぅ……

あ、綾香君。

さ、刺したねぇ……」





ドサッ……





鳴島

はうっ!!

ゴメンなさい!!

こ、こんなことをするつもりはなかったんですぅ……」
光一

「じ、実際……

ち、治療費……も、

ば、バカに、な、ならないのだ……よ……

こ、これも……『綾香による損害……ノー……』」
鳴島

「あうー!!

ゴメンなさい!! ゴメンなさいぃ!!」

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