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鳴島
「さあって、今日もお仕事お仕事♪」 |
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鳴島
「最近ココが、
『喫茶店』なんだってこと、
忘れている人も多いような気がしますからねぇ。
お仕事お仕事……っと」 |
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光一
「おや?
朝早くから店内の掃除かね?
感心感心」 |
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鳴島
「あっ!」 |
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光一
「おはよう、綾香君。
なんだか、先ほど変な独り言をつぶやいて…」 |
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鳴島
「いいえぇ、別にぃ。
ふぅ…………」 |
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光一
「え?」 |
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鳴島
「ふう…………」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「やれやれですねぇ……」 |
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光一
「もしもし、綾香君?」 |
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鳴島
「何ですかぁ?」 |
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光一
「何で私の顔を見るなり、
急にため息など吐きつつ、
呆れ顔になってるのかね?」 |
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鳴島
「自分の胸に
手を当てて聞いてみると良いです」 |
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光一
「???
全然わからんのだが……」 |
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鳴島
「本当に分からないですかぁ?」 |
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光一
「何がなんだか、さっぱり」 |
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鳴島
「彼女さんもかわいそうにぃ……」 |
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光一
「ちょっと待て!!
何でそこに私の彼女が出てくる?」 |
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鳴島
「え?
ここまで言っても分からないんですかぁ?」 |
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光一
「分からん。
何を言いたいのかね、君は?」 |
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鳴島
「マスター…………
今日の御自分の日記を
よっく見てくださいなぁ……」 |
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光一
「今日の私の日記というと……
私とI先生の会話かね?」 |
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鳴島
「そうですよぉ」 |
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光一
「生徒にセンター試験世界史で
70点以上取らせてね…………
って話のやつだろ?」 |
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鳴島
「その中に、
聞き捨てならない会話
がありませんでしたか?」 |
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光一
「あー、このときは本当に困ったよね。
『世界史で70点以上取れなかったら、
責任を取ってくれ』だもんね……」 |
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鳴島
「それだけじゃないでしょ?」 |
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光一
「あー、その責任つーのが、
『女生徒3人の内、誰を選ぶ?』
ってやつで……
将来的に責任取って交際しなさい……
だもんね!」 |
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鳴島
「生徒と交際って…………」 |
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光一
「いや、無茶苦茶にもほどがあるよねえ」 |
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鳴島
「で。マスターはどう答えましたっけ?」 |
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光一
「選べないって言っているのに、
選べって言うから、
『Tが私の好みかな?』
と、あえて付き合うならTさんだと……」 |
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鳴島
「ほらほら、そこですよぉ!!
彼女さんに謝りなさいですぅ!」 |
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光一
「は? え?」 |
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鳴島
「結婚まで考えている彼女さんがいるのに、
自分の生徒で
『この娘好み』
『あえて付き合うならこの娘と』
って……彼女さんに失礼でしょーが!」 |
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光一
「いや、私だって最初は断ってたじゃん。
そもそも付き合うわけもないし。
あえて好みを……と聞かれたから……」 |
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鳴島
「たく……これだから男はどうしようも……
付き合っている彼女がいるのに、
それ以外の女性も選ぶなんて……」 |
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光一
「ちょ、人聞きの悪い!
そこだけ人が聞いていたら、
私が浮気しているみたいでしょうが!」 |
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鳴島
「彼女さん以外の女性を
『あえて』とはいえ、
選ぶ時点で充分浮気ですぅ!」 |
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光一
「それは言い過ぎでしょ!
そんなこと言ったらさ、
『あ、このグラビアアイドル良いな』
だけで、浮気になっちゃうだろうが!」 |
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鳴島
「まぁ、グラビア見るぐらい良いですけどぉ……
『このグラビア好み』なんて、
目の前で言わなければ…………
グラビアアイドルなんて、遠い世界の人だし」 |
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光一
「第一、私があえて生徒Tを選んだとして、
実際付き合うんじゃないから、浮気じゃない。
そもそも、こんなので浮気なんて言ったら、
既に彼女に愛想つかされているわ!」 |
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鳴島
「ん?
それはどういう意味で?」 |
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光一
「普段彼女とテレビなど見ていて、
『あー、この巨乳グラビア良い』
とか、
『あー、この娘好みだね!!』
って言ってるし…………
それで今のところ問題はないんだから、
今回の件で失礼ってことはないんじゃ……」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「どうしたね?」 |
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鳴島
「そっちの方が、
今回の件よりもはるかに
失礼ですよう!!」 |
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鳴島
「彼女の目の前で、
『この巨乳グラビア良い』とか、
『この娘好み』とか……
無茶苦茶失礼じゃないですかぁ!」 |
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光一
「……………………
言われてみれば……」 |
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鳴島
「少しは反省してください!」 |