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光一
「まあ、そういうわけで……
2月からは給料が激減だよ」 |
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鳴島
「減るにしても、
半分になるってのは大変ですねぇ」 |
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光一
「私が担当している授業の半分が
3年生だったからなあ」 |
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鳴島
「そういえば、
センター試験終わりましたね」 |
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光一
「だから後は私大と
旧国立大の2次試験ってワケだ」 |
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鳴島
「そういえば、
私が高校生の時も、
2月からは自由登校になってましたねぇ」 |
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光一
「…………え?」 |
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鳴島
「んぅ?
何ですかぁ?」 |
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光一
「君…………
高校に入れたの?」 |
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鳴島
「私も高校までは出ていますよぉ。
って、どういう意味ですか、それは?」 |
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光一
「まさかと思うけど……
ゲームの中で高校に入れたとか、
高校に入った夢を見たとか……
挙句、ただの妄想ではないよね?」 |
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鳴島
「何失礼なこと言ってるんですかぁ!
ちゃんとれっきとした高校に
通ってましたよぉ!!」 |
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光一
「……高校まで出たのに、
こんなおバカだなんて……
親御さんかわいそうに……」 |
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鳴島
「どういう意味ですかぁ!
日常生活に不自由しないくらいには、
教養とか持っていますよぉ」 |
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光一
「ま、いいか。
そうそう、2月からは自由登校。
受験とか色々控えているからね」 |
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鳴島
「スルーしたぁ…………」 |
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光一
「だって、スルーしなかったら君のことだ。
台所からナイフとか持って来て、
私のことを刺すに決まっている!」 |
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鳴島
「よくお分かりで…………
そういえば以前はよく刺していましたがぁ、
最近はマスターのことを刺していませんねぇ」 |
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光一
「刺さなくてよい!」 |
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鳴島
「ここに昔から来ているお客様はぁ、
マスターが刺されることを
懐かしい……と待ち望んでいる気が……」 |
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光一
「誰も待ち望んでいない!
……………………きっと」 |
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鳴島
「ま、いっか。
それでぇ、授業数が減るから
収入が半減するんですよねぇ」 |
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光一
「非常勤講師の痛いところはそれだね」 |
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鳴島
「でもぉ、
2次試験などに向けて、
3年生に課外授業するんですよねぇ?」 |
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光一
「まぁ、そのつもり。
論述とか鍛えないといけないし……」 |
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鳴島
「課外やった分は、
申請すればお給料になるんですよねぇ、
良かったですねぇ♪」 |
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光一
「まあ、そうだね。
といっても、
そんなに多く課外をやるわけでもないし、
給料が実際に相当減るのは確定だよ」 |
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鳴島
「最初は課外さえも、
無給とかいう案が…………」 |
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光一
「あれは、I先生の暴走だよ!
実際にはちゃんと給料になるけど……」 |
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鳴島
「無給じゃ働くにも……ねぇ」 |
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光一
「生活するうえでお金は大事。
生徒も大事だけど、
お金もらえなかったら、
実際に授業なんてできないよ!」 |
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鳴島
「先生は仙人様みたいに、
霞を食べて生きているわけじゃないですしねぇ」 |
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光一
「そうそう」 |
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鳴島
「実際、
マスターの給料ってどうなんですかぁ?」 |
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光一
「どうって?」 |
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鳴島
「いや、ちゃんと生きていけるのかなって」 |
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光一
「無茶苦茶ギリギリ!
半減する2〜3月は、
どう生活しようかなあ…………」 |
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鳴島
「まさに格差社会…………」 |
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光一
「まあ、非常勤講師なんて、
そこら辺のバイトよりは遥かに割が良いけど、
結局学校サイドからすれば、
使い捨てに出来る安い先生だからね」 |
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鳴島
「公務員での教員採用は少ないし、
私立でもなかなか正式の教諭には……」 |
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光一
「今働いているところでも、
常勤講師や教諭として雇えるかは、
経営の問題もあるから、
正直保障できないって言われているしね」 |
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鳴島
「マスターの将来も大変そうですねぇ」 |
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光一
「まだ20代半ばだけど…………
30歳頃までが一つの勝負どころかな、
私の人生設計の場合だと」 |
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鳴島
「まぁ、彼女さんとの将来も考えて、
とにかく頑張ってくださいな!」 |
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光一
「お、珍しく綺麗にオチがついたね」 |
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鳴島
「なんですかぁ、その言い草は。
せっかく励ましの言葉をあげたのに……
そんなに罵詈雑言を浴びせられたいんですか?」 |
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光一
「いやいや、そんなことはないけど」 |
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鳴島
「そういうM的な部分は、
あんまり出さない方が
世間的には良いと思いますよぉ?」 |
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光一
「そういう人に誤解されることを
言うんじゃありません!!」 |
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鳴島
「ほらぁ、
マスターが望んだとおりの
オチをつけてあげましたよぉ♪」 |
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光一
「別に私は貶められたいわけでは……」 |