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光一
「そういえば先日さ、
綾香君、高校出ているって言ってたよね?」 |
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鳴島
「ええ、言ってましたねぇ」 |
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光一
「つかぬことを聞くけど、
高校で国語の成績いくつだった?
現代国語の成績」 |
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鳴島
「現国ですかぁ?
確か…………5だったかなぁ?」 |
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光一
「10段階中?
それとも20段階中の5?」 |
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鳴島
「失礼な!!
5段階中の5ですぅ!!」 |
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光一
「うそっ!!
こんなにボキャ貧で、
なおかつ頭も悪そうで……
脳みそに行く栄養分を全て
胸に吸収された娘なのに!?」 |
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鳴島
「本当に失礼しちゃいますねぇ……
刺しますよ?」 |
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光一
「いや……だって……
え〜…………」 |
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鳴島
「信じられないなら、
昔の成績表持ってきますよ」 |
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光一
「私でさえも3〜4だったのに……
あ! そうか!!」 |
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鳴島
「んぅ?」 |
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光一
「君の高校の成績のつけ方……
相対評価じゃなくて、
絶対評価だろ?」 |
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鳴島
「!?」 |
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光一
「大方…………
学年全体の平均点が30点くらいで、
30点前後を成績「3」と評価するから、
その中で50点ぐらいだったから、
5を貰えたんじゃないの?」 |
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鳴島
「あー……うー……」 |
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光一
「しかも、高校のテストなのに、
問題のレベルは中学レベルだっただろ?」 |
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鳴島
「ぅー…………」 |
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光一
「図星のようだね?
まぁ、それは別にどうでも良いんだけどね」 |
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鳴島
「別に良いって…………
なら引き合いに出さないで欲しいですぅ」 |
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光一
「ん?
君に恥をかかせたかっただけだから」 |
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鳴島
「!!」 |
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光一
「うわ!!
無言でナイフを持つんじゃない!」 |
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光一
「いや…………なんつーか、
やはり人との会話の中でさ、
ボキャ貧だったりするのって、
結構問題になるだろ?」 |
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鳴島
「まぁ……そうですねぇ」 |
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光一
「人間、ある程度の語彙力……
というか、国語力全体が必要だと思うのよ」 |
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鳴島
「それは私も実感してますけどぉ……」 |
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光一
「そういうのってさ、
大人になってから身につくというより、
せいぜい高校までに鍛えられていると思うの。
だから、国語の授業は大事なんだけどさ」 |
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鳴島
「まぁ……そうですねぇ……」 |
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光一
「むろん、ボキャ貧にせよなんにせよ、
それって学力というよりは、
コミュニケーションをどれだけしてきたか、
まあ、そこが最重要だと思うのだけどね」 |
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鳴島
「まぁ…………
人との会話は重要ですからね。
後は、本を読んだりとか……」 |
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光一
「で!
先日の私と彼女の会話においてさ、
それを久々に痛感したわけよ!」 |
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鳴島
「マスターと彼女さんの会話?」 |
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光一
「そうそう」 |
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鳴島
「マスターの彼女さんといえばぁ、
もう大学4年生で…………
この春の卒業・就職も決まってますよね?」 |
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光一
「うむ。
しかし、私の彼女もやはり……
ボキャブラリーが貧困だと思ったのだ。
まあ、私の日記を見てきてくれ」 |
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鳴島
「ん〜と…………
…………あっ!?」 |
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光一
「な!
ギャグ言ってと私が言えば、
『ぼくれもんだもん』
なんだ、そのギャグは!?
他にも息が白いことを、
『空気が白い』などと……」 |
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鳴島
「うわぁ…………」 |
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光一
「しかも、私が寒さのあまりに、
『あー、周りに火をつけたい』
と言えば、
『放火魔はやめて下さいよ』
と言いつつ、その理由を言う際には
『あー、えっと……えーっと……』
と、言葉に勝手に詰まっていたり……
人間ボキャ貧だと色々問題が……」 |
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鳴島
「マスター…………」 |
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光一
「何かね?
やはり君も、
ボキャ貧はどうにかしたいと思ったろ?」 |
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鳴島
「そうじゃなくて…………」 |
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光一
「ん?」 |
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鳴島
「『辺りに火をつけたら暖かそう』
って…………
周囲の家の人に聞かれたら、
非常に問題なのではぁ?」 |
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光一
「いや、だって冗談だし」 |
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鳴島
「冗談でも言っちゃマズイですよぉ。
マスターはボキャ貧以前に、
常識が足りてませんよぉ」 |
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光一
「いや、だって……えっと……」 |
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鳴島
「あれ?
何言葉に詰まってるんですかぁ?」 |
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光一
「いや、私は別にね……
これはその……会話のつなぎを……」 |
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鳴島
「ほぉ〜ら……
マスターもボキャ貧じゃないですかぁ?
あんまり人のことは言えないですねぇ」 |