鳴島
「マスター…………」光一
「ん？ なんだね？」鳴島
「先日は申し訳ありませんでしたぁ……」光一
「それは…………
①誤解で私を刺した件
②飲食店を追い出された件
③ボウリング場を追い出された件
④飲み屋で私に大怪我させた件
のどれに対してだね？」鳴島
「①を抜かした全部ですぅ……」光一
「ほぉぉぉ…………
①は抜かすのかね？」鳴島
「だって、あれはぁ…………」光一
「まあ、良いだろう。
君も反省しているようだし、
私もこれ以上は言わないでおこう」鳴島
「ふぇっ？」光一
「まあ、私は大人だからね。
今日は先日の厄落としもかねて、
神社にでも行こうと思ったのだよ」鳴島
「あう～……
マスターにしては珍しく優しいですねぇ」光一
「私はいつも優しいと思うが……
まあ、良いだろう。
今日は神社にお参りし、
ゆっくりと過ごそうではないかね」鳴島
「はいですぅ～♪」
で、小一時間経過
鳴島
「マスター！！
私のおみくじ、
大吉ですよぉ！！」光一
「ほぉ、それはめでたい！！」鳴島
「ところでぇ、
こういう場合ってどうするんでしたっけ？」光一
「なにが？」鳴島
「凶とかだったら、
神社に結んで置いていく……
とか聞きますけどぉ」光一
「結ぶと、
悪いのが清められるらしいね」鳴島
「でも、結ぶと書いていることが
かなえられるとも聞きますよぉ」光一
「…………
確かに。大吉は置いていくのかな？
まあ、でもだ。
それなら結んでいけばいいんじゃない？
書いてあることがかなうんでしょ？」鳴島
「あ、そっか！！」光一
「悪い場合は、清めるのに置いていく。
良い場合は、それをかなえるのに置いていく。
で、いいんじゃないの？」鳴島
「よ～し、
じゃあ結んでいくぞぉー！！」光一
「ところで何て書いてあったの？」鳴島
「待ち人＝来る
出産＝良し」光一
「…………あっそ」鳴島
「なんで、
そんなにそっけないんですかぁ？」光一
「なんで色々ある項目から、
そこだけなんだ？」鳴島
「そ、それは……
ごにょごにょ…………
って、マスターはどうだったんですか？」光一
「中吉」鳴島
「いいじゃないですかぁ♪」光一
「待ち人＝来ない」鳴島
「にゃ！？ なんで！？」光一
「なんでもなにも……
そう書いてあるんだって」鳴島
「私が、
『待ち人＝来る』
なのにぃ、
マスターが
『待ち人＝来ない』！？
そんなの矛盾してるじゃないですかぁ！！
このおみくじ、インチキですぅ！！」光一
「なにがどう矛盾しているのか、
さっぱりわからん！！」鳴島
「マスターは鈍すぎですぅ……」光一
「ま、大体用も済んだし帰ろうか？」鳴島
「そうですねぇ。
ところでマスター？」光一
「なんだね？」鳴島
「さっき、
デジカメで何を撮っていたんですかぁ？」光一
「神社の風景だよ。
建築美ってヤツかね」鳴島
「私にも見せてくださいよぉ♪」光一
「そ、それは…………
あ、あんまりデジカメの電池残ってないし」鳴島
「帰ってから見せてくれればいいですよぉ♪」光一
「いや、でも…………
あんまり綺麗に撮れていないし……」鳴島
「……………………」光一
「……………………」鳴島
「……………………」光一
「あの、綾香君？」鳴島
「はい？」光一
「なんで黙ってるんですか？」鳴島
「デジカメ見せてください」光一
「……………………」鳴島
「……………………」光一
「……………………」光一
「なんで黙ってるんですかぁ？」光一
「いや、えっとその…………
う、歌おうよ！！」鳴島
「うふぅ～♪」
光一「や、やめろ……」
鳴島「デジカメよこしなさい！！」
光一「な、殴るのは……」
ボグゥ！！
鳴島
「もう、
最初からデジカメ貸してくださればぁ、
手荒なマネはしませんでしたのにぃ♪」光一
「見てはいかん！！
見ると、そ、その…………」鳴島
「その？ なんですかぁ？」光一
「の、呪われる？」鳴島
「えっと、
デジカメのプレビューボタンは……」光一
「……………………」
（タタタタタタ…………）鳴島
「あ、マスター！！
どこへ走っていくんですかぁ！？
…………って、ああっ！！
この画像はぁ！！」
タタタタタタタ！！
光一「ひぃぃぃ、来ないで！！」
鳴島「マスター、相変わらずこんな事ばかりぃ！！」
ドスゥゥゥ！！
……どさっ
鳴島
「何が建築美ですかぁ！！
撮ってあるの、
みんな巫女さんの画像じゃないですかぁ！！
私を一人置いておいて、
他の女の画像を撮っていたなんてぇ……」
