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光一
「おはよー」 |
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鳴島
「グーテンターク!!」 |
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光一
「…………は?」 |
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鳴島
「あれぇ? どうしましたぁ?」 |
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光一
「…………おはよう」 |
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鳴島
「グーテンターク!!」 |
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光一
「うん、一体朝から何事なわけ?」 |
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鳴島
「ふぇ?
ちゃんと挨拶してるじゃないですかぁ?
マスター、大学時代にドイツ語やってましたよねぇ?」 |
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光一
「グーテンタークの意味くらい分かるけど……
いつも通り『おはようございます』でいいだろうが」 |
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清香
「あ、マスター。おはようございます」 |
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光一
「うん、おはよう。
この綾香君はどうしたわけ?」 |
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清香
「あー、何でも……外国語使える女性って、
なんだか理知的でモテそうな気がするとかで……」 |
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光一
「色々しゃべれるなら良いけど……
挨拶だけ外国語でされても、
かえってバカさ加減が浮き出るような気が」 |
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鳴島
「バカじゃないもん!!」 |
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光一
「だって、他に分かるドイツ語ってあるの?」 |
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鳴島
「イッヒ・ビン・ボールペン!! 」 |
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光一
「君…………ボールペンなの?」 |
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鳴島
「そんなわけないじゃないですかぁ!?
ほら、ここにボールペンあるじゃないですかぁ!」 |
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光一
「ボールペンって和製英語だし。
ドイツ語で言うならクーゲルシュライバーだし……」 |
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鳴島
「ぁ〜……………………」 |
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清香
「後、お姉ちゃんの言ったドイツ語?
英語にするとI am a Pen.
『私はペンです』になるけど……良いの?」 |
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鳴島
「ウソッ!?」 |
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光一
「いや、清香君の言うとおりだから。いや…………
この位おバカな方が、かえってモテる気もするか。
なんだか可愛い気もするし」 |
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清香
「あー、それは言えてるかもしれませんね」 |
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鳴島
「何よ、2人そろってぇ!!」 |
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光一
「綾香君。言葉が通じるって大事だから。
ムリしないで日本語を使いなさい」 |
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鳴島
「うぅ〜……………………」 |
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清香
「日本語だって使いこなせてないのに、
どうしてドイツ語に走ったの?」 |
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鳴島
「日本語ぐらい使いこなしてるよぉ〜!!」 |
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光一
「…………うん」 |
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清香
「…………そうだね」 |
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鳴島
「何? 何が言いたいわけ〜!?」 |
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光一
「だからって同じ日本語でも…………
通じる日本語を使いたまえよ? 例えば…………
ギャル語使われてもコミュニケーションできないからね?」 |
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鳴島
「ギャル語なんて使いませんよぉ〜」 |
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清香
「お姉ちゃんが使ったらキツイもんね。
主に年齢的な問題で」 |
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鳴島
「なんですってぇー!?
そんな事ないわよぉー!!」 |
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光一
「いや、清香君の言う通りだから……」 |
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鳴島
「私だってギャル語ぐらい使えるんですよぉ」 |
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清香
「例えば?」 |
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鳴島
「『チョベリバ』とかぁ?」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「ふふぅ〜♪
若者でないマスターには通じない感じですかぁ?」 |
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光一
「いや、綾香君……あのね………
それこそ人前で使わない方が良いよ?」 |
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鳴島
「ほぇ?」 |
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清香
「お姉ちゃん、それ……完全な廃語だからね?」 |
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鳴島
「うえっ!?」 |
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光一
「それって使われてたの……10年以上前。
あまりにも懐かし過ぎて、言葉が出なかったから。
君と私って、ホント世代近いんだねえ」 |
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清香
「私が生まれたのって、
その言葉が使われだした年だよ?
今の女子高生とかには通じないんじゃない?」 |
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鳴島
「そ、そんなに昔だっけ、この言葉?」 |
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光一
「まあ毎度毎度……8年前から思ってるけど、
『〜ですぅ』とかの間延び言葉も……
年齢的には厳しいかもしれないですよ?」 |
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鳴島
「ふえっ!?」 |