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光一
「ふう……もう2月も半ばか。
そろそろ引っ越しもしなくてはならないし、
今のネット解約したり、向こうにネット引いたり……
色々忙しいなあ…………」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「というかだね…………」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「さっきから君は何をしているのかね?」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「返事ぐらいしないか!!」 |
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鳴島
「うにゃっ!?」 |
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光一
「まったく……さっきから黙って何をしているのかね?」 |
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鳴島
「あー、マスターのせいですよぉ!!」 |
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光一
「何がだね?」 |
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鳴島
「恵方巻食べていたのに…………
黙って食べ切らないといけなかったのに……
黙って食べきれば今年は無病息災だったはずなのにぃ!
マスターがゲンコツなんてするから!!」 |
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光一
「くだらん…………実にくだらん!!」 |
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鳴島
「何がですかぁ!!」 |
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光一
「いいかい、綾香君。
恵方巻だか、阿呆巻だか知らないが、
そんな事をして何になるんだね?」 |
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鳴島
「節分の日にこれをやり遂げると、
良い年になるんですよぉ!」 |
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光一
「まったく……関西の海苔業者が仕掛けたブームに、
コンビニが便乗しただけの企画なのに……
そんな商業戦略に乗せられるなんて情けない!
しかも今ではロールケーキとか色々…………
何でもありで、神聖さのかけらも感じられない!!」 |
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鳴島
「そこまで言わなくたってぇ…………」 |
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光一
「いや、言わせてもらおう。
元々、恵方巻って関西の商人階級がやっていた、
ごく一部の人の行事だったのだよ?
しかも関西ですら、普及したのは海苔業者の宣伝で
ここ30年程度のことなのに…………
ましてやそれを関東の人間が……嘆かわしい!
しかも売れ残りの恵方巻を買わされている
コンビニの従業員達が可哀想だ……
クリスマスケーキとかもそうだが…………
安時給のバイトから搾取するなよって話だ」 |
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鳴島
「縁起物に目くじらを立てなくたってぇ……」 |
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光一
「そうかね? 単に乗せられているだけだろ?
節分どうのと言うのであれば、豆をまきたまえ。
元々そういう風にしていただろ?」 |
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鳴島
「あ……それはぁ……そのぉ……」 |
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光一
「ほーら、流行りだすと元々の習慣はしなくなる。
縁起物だといいつつ、昔からやっていたことを捨てて、
流行しているものに流されているだけではないかね?
やってみないと流行遅れとかいう…………
まさにブランド物気分でやっていただけではないのかね?」 |
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鳴島
「むぅ…………」 |
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光一
「そもそも、今日は節分ではないのだが?
既に1週間程度過ぎていないかね?」 |
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鳴島
「マスターが前回更新の時に話題にしなかったからぁ!
前回交通事故なんてくだらない話をしているからぁ!」 |
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光一
「……私が巻き込まれた交通事故はくだらないかね?
それはともかくとして、
私、節分があった事自体忘れていたもの。
仕事帰りに嫁から貰ったメールで知っただけだし」 |
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鳴島
「たまにはそういうイベント楽しめば良いのにぃ……」 |
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光一
「縁起物としてやるなら、楽しむなんて不謹慎だ。
それなのに嫁に至っては、恵方巻を食べていたようなので、
『阿呆巻?』とか
『関西の風習に乗っかるなんて情けない』とか、
まあ、散々こきおろしておいた♪」 |
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鳴島
「ひどーい!!」 |
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光一
「ひどくない!!
私は元々こういうイベント自体、不謹慎で嫌いなのだ。
更にこうした行事を商業目的に使うのは嫌いだ」 |
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鳴島
「まったくマスターは空気が読めないですねぇ」 |
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光一
「なんだって?」 |
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鳴島
「初詣だって、おみくじ引かないかって誘ってきたお嫁さんに、
あんな神社の商業戦略に乗ってどうする!とか……
おみくじを引いて良い年になるわけじゃない!とか……
散々文句を言いまくったそうじゃないですかぁ」 |
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光一
「当たり前だ!!
あんなの引くために100円使うのは、
お金をドブに捨てるようなものだ!!
大吉と書いてあっても、良い事があるわけでもあるまい」 |
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鳴島
「そうですよねぇ♪」 |
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光一
「その通りだ!!」 |
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鳴島
「大吉を10年もの間、初詣で引き続けてきたのに、
初めて引いた年は、受験に失敗し、彼女にふられ。
2004年には購入して1週間の新車を盗まれ。
2009年には引当てた直後に、PCがクラッシュ!
引いても引いても大吉しか出ないのにぃ、
現実はちっとも良くないので、ひがんでいるんですよねぇ♪」 |
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光一
「う、うるさい!!」 |
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鳴島
「しかも、散々ごねて最後には引いたものの……
おみくじを引きたくなかった理由が…………
『大吉みくじ連続記録が途絶えるのが怖い?』
なんですか、それはぁ?」 |
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光一
「10回以上も続けて大吉が出続けているのに、
ここで止まったら気持ちが悪いだろうが!!」 |
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鳴島
「そういうの信じないって言っているクセにぃ……」 |
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光一
「だって、気持ち悪いだろ?
ここまで大吉が続いているのに、途切れてみろ?
それこそ、何かの前触れだろ!!」 |
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鳴島
「そんなんだから、彼女さんに…………
『そんなんで引けない?』
『光一さんってただのチキンですよねー!』
って言われちゃうんですよぉ」 |
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光一
「うるさいな! 最終的には今年も引いただろうが。
しかも見事にまた大吉を当てた!!
連続記録更新中だ!!」 |
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鳴島
「そして大人げない事に…………
『君は中吉? チキンの私が大吉ですまないねー♪』
って、思いっきり嫌味を言いまくったり…………」 |
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光一
「これは嫁と私の、プライドを賭けた勝負だったんだ!
勝者の私が勝ち誇る事の何が悪いのかね!!」 |
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鳴島
「そんな小物っぷりを発揮するから、
彼女さんにチキン野郎扱いされるんですよぉ」 |
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光一
「なっ!? 私はチキンではないぞ!!
そもそもこの話だって、元をたどれば
こんなくだらない行事に金を使う意味はないとか、
神社とか商社の金儲けに乗せられるのが楽しいの?
そういう警鐘を鳴らして色々言っているだけだろ!!」 |
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鳴島
「はいはい。
マスターは色々理屈をつけても、
チキンだから良いんだと思いますよぉ♪」 |
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光一
「チキンではない!!
人の話を聞きたまえ!!」 |