光一
「そんなわけで、震災から２週間…………
週明けの２８日から仕事再開が決まった」鳴島
「少しずつは以前の生活に戻りつつあるんですかねえ？」光一
「といっても客先の工場はダメージが大きくて、
未だに操業再開のメドが立ってないから、
自社の片付けをするだけ……
自分の仕事、基本的に客先でやるから、
客先が操業再開できないと、結局何もできないけど」鳴島
「そういう意味では、まだまだ戻れないですねぇ」光一
「一応会社からのメールに付帯された部分に、
『状況に応じ、出社不可能な場合は上長と相談』と、
震災前の状態とは程遠いねえ…………
そもそも、会社に行ってもまだ水とか使えないし」鳴島
「トイレとかどうするんですかぁ！？」光一
「知らない。というか、
水も使えないなら、どうやって片付けるのかねえ？」鳴島
「う〜ん」光一
「新入社員の出社は４月２１日からに延期されたねえ」鳴島
「状況が状況ですからねぇ」光一
「この震災で仕事を失った人や、
内定先から切られた学生とか……
この先どうするんだって感じだよねえ」清香
「被災地……復興するにしても、
産業自体が大きい被害受けてますしねぇ」光一
「住んでいる人もね。
茨城も製造業から農産業……特に農産業どうするのか……
連日ニュースや発表で
『ホウレンソウから暫定基準値超える放射性物質検出』
『出荷制限/摂取制限』なんて出されて……
農家の人達は今後の生活どうすればいいのかね？」鳴島
「う〜ん」光一
「第一、発表自体おかしいんだよね。
『仮に毎日摂取し続けても問題ない量』だと言いながら、
『摂取させない。出荷は制限してもらう』って……
安全なの？ 安全じゃないの？
『洗えば問題ない』って言うなら
『出荷は制限してください』って、
言っている事と実際の中身に矛盾が無い？」清香
「というか、今畑にある作物を潰して……
それでまた育てたら、それを出荷する時期に
『放射性物質が検出された』なんてなったら……
そう思うと、今後どう生産すればいいのか分かりませんよね」光一
「そうなんだよねえ。大きな被害を受けた上で、
茨城もそうだけど、北関東３県とか東北地方……
この地域の農業をどうしたいんだろうね？」鳴島
「暫定基準値自体、１年間食べ続けても、
ＣＴスキャン１回分に満たない被ばく量なんですよねぇ」光一
「暫定基準値自体見直してもいいんではないかね？
しかも同じ県内の原発に近い地域と、そうでない地域。
どちらかで検出された時点で、県内産該当野菜の出荷制限でしょ？
出荷制限が県単位ってのも、あまりにも雑すぎる。
しかも風向き次第、天候次第で検出値も変わるし……」清香
「水だって、１度放射性物質が検出されただけで、
ミネラルウォーターの買占め・品不足ですもんねえ。
乳幼児の飲用を避けるようにっていうものであって……
大人は問題ないはずなのに、大人も過剰に反応して」光一
「冷静に判断して動かないと、
いらない被害が生まれるだけだと思うんだけどねえ。
ホウレン草だって、よく洗えば問題はないのに……
農薬がガンガン使われても気にしないのに、
こういうのは過剰に気にされるんだよねえ」鳴島
「確かにぃ…………」光一
「当該地域に生活基盤がある人間からしたら、
たまったものじゃない…………」清香
「ですねー」光一
「日本の政治家とか財界人なんかは、
他人事だったり、人間性を疑う発言を平気でするしね」清香
「ありますねぇ」光一
「大阪府議会議長なんかは『この地震が起こってよかった』
東京都知事は『津波は天罰』でしょ？
読売新聞グループの大ボス、ナベツネなんかも
計画停電で大変な思いをしている中で、
パ・リーグが開催延期を決めたら
『こういう時には何もやらない方が良いというなら勝手にしろっ！』
って醜態を演じてみせたもんねえ…………」清香
「東京ドームで試合すると、
一般家庭３０００〜４０００戸分の電力を
毎時間消費するんですよね」光一
「企業によっては、交通機関が計画停電で乱れるから、
早めに終業させるトコもあるのに、
交通機関の混乱の元凶にもなりかねない。
というか、被災地のＴＶも見られない地域の人達は、
彼らが野球をやったからって、
どういう元気を分けてもらえるんだ？」鳴島
「それよりは、お腹一杯食べた方が元気になりますよねぇ」光一
「岩手県の嫁の実家にメールで聞いたら、
『お米はあるけど、おかずがない』だからね。
向こうの実家の栄養状態が心配……山の中の集落だしなあ」鳴島
「といっても、
今すぐ何かできるわけでもないですからねぇ」光一
「そうなんだよねえ…………
こちらは１日でも早く平常時に戻れるよう、
冷静に行動するのが、多分大きな支援になると思う。
こっちも混乱した状態が続けば、支援の手は拡散するだろうから」鳴島
「それはそうですねぇ」光一
「ただ、放射性物質の話にあるように、
県内産業も風評被害でのダメージを受け続けてるし、
全体として落ち着くのが何時の事か…………」清香
「そうなんですよねー」光一
「色んな報道や情報が飛び交うけど、
冷静になることだよねえ。
農産物の出荷制限とかは、
北関東３県や東北地方にとっては、
更なる打撃に他ならないよ…………」鳴島
「未だに営業再開できない店とか事業所もあるしぃ、
そういう中では更に復興を遅らせるだけですよねぇ」光一
「海外では日本人の冷静さを讃えるニュースが多いけど、
実情を見ていると、必ずしもそうでもない気がする……
海外で同じ事象が起きた場合とで、差の軽重はあってもね」清香
「被害が少ない地域の方が、
かえって混乱しているような気もしますね」光一
「被災地であっても被害の方も落ち着いてくれば、
今後の生活を考えるようになるから、
今まで出なかった混乱が生まれるのは当然だけど。
大きな被害の無い地域で、買占めとか起きたり、
無用な混乱が起きるのは……どうなんだろうねえ？」鳴島
「うーん」光一
「この事態がそもそも長い期間、
冷静にそして温かく復興支援が継続される必要があるけど、
被災地の状況が徐々に忘れられないか心配。
現に原発事故の事がクローズアップされるほどに、
震災の事が置き去りにされているような……」鳴島
「それはあるかも…………」光一
「３カ月もしたら、忘れ去られてるんじゃないかなあ……
とか思わなくもない。
計画停電とかもあるから、東電エリアはともかくとして……
ただそれも震災というよりも電力問題として意識されるぐらいで。
原発問題は尾を引くし、影響残るから意識され続けるだろうけど。
震災の事は忘れられそうな…………」鳴島
「そういう意味でも、色々考えないとですよねぇ」光一
「君なんて記憶力無いから、
明日には忘れてそうだしねえ……」鳴島
「そんなに記憶力悪くありません！」清香
「そうだよねえ。
７２０分くらいは覚えてられるよねえ♪」鳴島
「…………１日よりも時間短くなってるよぉ！
というか、自分も被災地にいるのにぃ、
忘れるわけないでしょうよぉ！！」
