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光一
「まったく、不思議な事だと思わないかい?」 |
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鳴島
「そうですねぇ…………
マスターという存在自体が不思議ですよねぇ?」 |
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光一
「えっ!?
まだ問題を提起してないのに、
私自体の存在を疑問視!?」 |
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清香
「で、何の問題に対して『不思議』なんですか?」 |
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光一
「そう。聞いてくれよ…………
2010年春の事なんだけどさあ」 |
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鳴島
「随分また前の事ですねぇ」 |
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光一
「その当時、私は新婚ホヤホヤだったわけよ?」 |
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清香
「2010年5月でしたっけ? 結婚されたの?」 |
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光一
「そうそう。それまで交際期間5年間」 |
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鳴島
「よくマスターと5年も付き合った上に、
結婚する気になれましたよねぇ?」 |
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光一
「どういう意味かね?」 |
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鳴島
「え、そのまんまの意味ですよぉ?」 |
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清香
「で、その新婚当時がどうしたんですか?」 |
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光一
「今では健康上の観点から、
ほとんど飲んでいないんだけどさ……
当時コーヒーが大好きだったのね、私」 |
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鳴島
「1日10杯はコーヒーを飲んでたんでしたっけ?」 |
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光一
「そう。好きだったからねえ」 |
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清香
「健康上の観点うんぬんを抜かしても、
飲み過ぎだと思いますけど…………
完全なカフェイン中毒じゃないですか」 |
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光一
「今はほぼ完全に絶ったよ。
飲まない日の方が圧倒的に多いからね」 |
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鳴島
「何を自慢げに言ってるんですかぁ?」 |
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清香
「で? 新婚当時のコーヒー漬け生活が、
どうかされたんですか?」 |
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光一
「ある日、実家から、
数種類のインスタントコーヒー貰って来たのね」 |
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鳴島
「ふむふむ」 |
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光一
「で、嫁が聞いてきたんだよ。
『どのコーヒーから飲むの?』って」 |
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鳴島
「それのどこに『不思議』な要素があるんですかぁ?」 |
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光一
「まあ、もう少し聞きたまえよ。
当時は『新婚ホヤホヤ』だったわけでしょ?」 |
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清香
「まあ、マスターが語るほどのものかは別にして、
そういう時期もあったんですよね?」 |
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光一
「何で疑問形で言ってくるの?」 |
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清香
「いえ、それほど含みはないですが」 |
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鳴島
「含みを感じるのは、
マスター自身が『新婚』だった当時を振り返って、
『あれ? 全然アツアツじゃなかったぞ』
って思ってるからじゃないですかぁ?」 |
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光一
「そ、そんな事は無い!!」 |
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清香
「で、奥様から『どのコーヒーがいい?』
って言われて、どうされたんですか?」 |
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光一
「まあ、『アツアツ』だった時期だしね、
私はこう答えたんだよ」 |
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鳴島
「ふむ?」 |
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光一
「『おんにゃのこのオッパイの味がするやつ―』
ってね……………………」 |
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鳴島
「……………………」 |
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清香
「……………………」 |
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光一
「そうしたら、嫁の反応はどうだったと思う?
念のためにまた言うと、当時、新婚ホヤホヤだった頃ね」 |
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鳴島
「いや、大体想像の範囲内です」 |
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清香
「言われるまでもないです」 |
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光一
「あれ!?」 |
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鳴島
「どうせ奥さんからは、
つめた〜い反応が返ってきたか」 |
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清香
「汚物を見る様な視線が返って来たのでは?」 |
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光一
「何で分かるの!?
そうなんだよ!!
誠に不思議だと思わない?
当時新婚ホヤホヤだよ?
『女性のオッパイ味が欲しい』って言って、
それに対して嫁はだね、
『じゃあ、私のオッパイで我慢して』って、
自分の乳をさしだしてくるのが普通じゃない?」 |
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鳴島
「いえ」 |
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清香
「普通じゃないです」 |
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光一
「あれ!?」 |
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鳴島
「これは新婚ホヤホヤとか関係なしに……
ただのセクハラですね」 |
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光一
「夫婦間で……新婚当時に、
セクハラなんて存在するのかね!?」 |
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清香
「マスター知ってますか?
セクハラは申告罪なので、
相手がどう思ったか……ですよ?」 |
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光一
「い、言われずとも知っているよ!!」 |
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鳴島
「だったら、これは完全にセクハラですよねぇ」 |
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光一
「何故!?」 |
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鳴島
「『どのコーヒーを飲む』って聞かれて、
『女性のオッパイの味』って答える人が、
一体どこにいるんですかぁ…………」 |
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光一
「ここにいるよ!」 |
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鳴島
「だからセクハラなんですってばぁ、
全く…………ちゃんと自覚なさいな」 |
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光一
「えー…………」 |
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鳴島
「『えー』じゃないですよ、まったく」 |
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光一
「綾香君なんて、巨乳を持てあましていて、
もったいないよね……あ、分かった!
綾香君は『彼氏いない歴、約30年』だから、
私の発言に嫉妬してセクハラとか言うんだろ?」 |
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鳴島
「マスターの発言、
今のは頭から最後まで、
ぜ〜んぶ、セクハラですからねぇ!?」 |
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光一
「え〜…………」 |
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清香
「お姉ちゃん、警察呼ぶ?」 |
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鳴島
「そうだね、そうしよう♪ レッツ、警察♪」 |
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光一
「ちょ、ちょ、君達、待って!!」 |