|  | 鳴島 
 「およ? マスター。
 
 おっはようございますぅー♪」
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      |  | 光一 
 「ん? ああ、綾香君。おはよう」
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      |  | 鳴島 
 「なんですかぁ? 朝から疲れ果てた顔で」
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      |  | 光一 
 「んー、いや。眠くてねえ」
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      |  | 鳴島 
 「ははーん……なるほどなるほどぉー」
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      |  | 光一 
 「なんだね?」
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      |  | 鳴島 
 「いやいや、何でもないですけどぉ、
 
 結婚おめでとうございますぅ!」
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      |  | 光一 
 「ああ、うん。ありがとう」
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      |  | 鳴島 
 「交際5年で結婚ですかぁ。
 
 年貢の納め時だったってやつですかぁ?」
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      |  | 光一 
 「というか、サイトの運営中に出来た彼女と
 
 まさかそのままゴールインするなんて、
 
 自分自身にビックリだよ!!
 
 彼女が出来た翌日の日記が変なテンションだったのも懐かしい」
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      |  | 鳴島 
 「あー、そういえばそうでしたねぇ♪」
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      |  | 光一 
 「そして、同じ日の店の日誌を見ていたら……
 
 君は5年前もやっぱり仕事できてなかったねえ……」
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      |  | 鳴島 
 「5年も前の事、蒸し返さないでくださいよぉ!」
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      |  | 光一 
 「あれはひどかったよね。
 
 辛い物に甘い物を少し混ぜたら辛くなるから、
 
 甘い物に辛い物を入れたら甘くなるって……
 
 お客さんに出したパフェにカラシ混入したよね?」
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      |  | 鳴島 
 「お客さん怒ってなかったんですから、
 
 いいじゃないですかぁ!!」
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      |  | 光一 
 「最悪の味覚センスだよねえ、君……
 
 仮にも飲食店で働いているのに…………」
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      |  | 鳴島 
 「だからせめてぇ、接客は上手くできてますよぉ」
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      |  | 光一 
 「その割にはオーダーのミスが今もあるのだが……」
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      |  | 鳴島 
 「むぅー……だってぇ…………」
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      |  | 清香 
 「おはようございます!!」
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      |  | 光一 
 「おはよう」
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      |  | 清香 
 「マスター、ご結婚おめでとうございます」
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      |  | 光一 
 「ありがとう」
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      |  | 清香 
 「新婚生活はいかがですかー?」
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      |  | 鳴島 
 「そうそう。それを聞こうとしていたぁ!」
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      |  | 光一 
 「非常に順調で快適で…………
 
 素敵な新婚生活1週間目が終わろうとしているよ?」
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      |  | 鳴島 
 「順調…………快適ですかぁ?」
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      |  | 清香 
 「そのまま行くと、その内に……
 
 鬼嫁日記化しちゃいますよ?」
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      |  | 光一 
 「確かに…………」
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      |  | 鳴島 
 「というかぁ、マスター?
 
 さすがに腕力では奥さんに勝てるんじゃないですかぁ?」
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      |  | 光一 
 「もちろん。さすがにそこまで負けたら……
 
 もう色々終わりでしょ?」
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      |  | 清香 
 「その割には…………
 
 今回も含めて奥さんとの対立は負けているような?」
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      |  | 光一 
 「譲ってるんだよ。
 
 わざと勝ちをゆずってあげるの。
 
 夫婦円満のコツは多分、旦那が譲ってあげる気持ちだよ」
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      |  | 鳴島 
 「おおー……マスターらしくないようなぁ……」
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      |  | 清香 
 「さっすがマスター!!
 
 女心が分かってらっしゃる!!」
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      |  | 光一 
 「そうだろう。そうだろう。
 
 いやぁ、まったく、男はつらいねえ」
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      |  | 清香 
 「お姉ちゃんお姉ちゃん」
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      |  | 鳴島 
 「んぅ? なにー、清香?」
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      |  | 鳴島 
 「男の人はこうやって操縦するんだよ?」
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      |  | 鳴島 
 「操縦!?」
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      |  | 清香 
 「男も女も気持ち次第だって。
 
 ちゃんと乗せてあげれば良いの♪
 
 マスター!」
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      |  | 光一 
 「ん? 何かね?」
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      |  | 清香 
 「ウチのお姉ちゃんが
 
 そんなマスター夫婦にあやかりたいそうですよ。
 
 いつもいつも円満に楽しく過ごしているなんて
 
 羨ましくて仕方がないんですって!!」
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      |  | 光一 
 「おおー、綾香君にしては珍しく殊勝だねえ」
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      |  | 清香 
 「ほらほら、お姉ちゃん」
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      |  | 鳴島 
 「あ、そうそう。そうなんですよぉ!!
 
 さっすがマスター!!」
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      |  | 光一 
 「ふむー。今日はなんか機嫌がいいからね。
 
 特別にボーナスを上げようじゃないか!」
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      |  | 鳴島 
 「ホントですかぁ!?
 
 ありがとうございますぅ♪」
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      |  | 清香 
 「ねっ、お姉ちゃん。
 
 夫婦もバイトも何でも人間の気持ち次第だよー♪」
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      |  | 鳴島 
 「清香……いつの間にそんなたくましい妹に……」
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