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光一
「ふー……恐ろしい思いをした……」 |
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鳴島
「どうかしたんですかぁ?」 |
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光一
「ん?
痴漢に遭った」 |
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鳴島
「ええーっ、男を……よりによってマスター?
何て物好きなんですかぁ!?」 |
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光一
「さり気なく失礼な言葉に聞こえるんだが?」 |
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鳴島
「だってぇ…………」 |
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光一
「いやー、夏だから活動が盛んになってるんだねえ。
以前も確か夏の事だったから」 |
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鳴島
「そういうのって夏よりも春の方が多いんじゃ?」 |
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光一
「君は遭った事ないの?」 |
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鳴島
「強いてあげるなら、
マスターからのセクハラが当たりますかねぇ?」 |
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光一
「は? 何を言ってるの、君は?」 |
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鳴島
「今更とぼけないでくださいよぉ!」 |
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光一
「ボクはあんな生き物と一緒にされたくないんだけど」 |
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鳴島
「は?」 |
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光一
「いや、だから私はね。
股間付近をモシモシされていたんだけど……」 |
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鳴島
「レディーの前でそんな単語出さないでくださいますぅ?」 |
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光一
「まあ、それ……私の部屋での事なんだけどさあ」 |
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鳴島
「はぁ?
何で部屋に痴漢が出るんですかぁ?」 |
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光一
「いや、出るでしょ?
君の部屋にいないの?」 |
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鳴島
「女の独り暮らしの部屋に入ってきた時点で、
痴漢以外の犯罪者ですよねぇ?」 |
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光一
「どこにでもいると思うんだけどねえ」 |
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鳴島
「?????
さっきから何の話をしてるんですかぁ?」 |
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光一
「え?
それと気が付かないまま数分間…………
ゴキブリの触覚で股間付近をさわさわされてたんだけど」 |
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鳴島
「…………………」 |
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光一
「思い切って手で引っ張ってみたら、
G生物が身体を這いまわった上に、
床に逃げ出した…………」 |
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鳴島
「痴漢じゃなくてゴキブリ!?
紛らわしい言い方しないでくださいよぉ!」 |
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光一
「以前にもゴキブリに身体を這われた経験はあるけど。
本当に恐ろしい事だったね…………
身の毛もよだつとはこの事だよ…………」 |
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鳴島
「うわぁー……近寄らないでくださいよぉ!」 |
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光一
「ヒドイ事言うね、君は!!」 |
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鳴島
「だってぇ……ゴキブリなんて恐ろしい生物に、
身体を這われていたなんてぇ…………」 |
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光一
「そう言えば、嫁もすっごい嫌がってた」 |
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鳴島
「そりゃそうですよぉ」 |
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光一
「私だけこんな体験していて、嫁がしていない。
なんかムカついたので、
嫁にゴキブリ話をたくさんしてあげたよ♪」 |
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鳴島
「何考えてんですかぁ!?」 |
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光一
「え? 嫁の心にトラウマを残す事だけを考えた」 |
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鳴島
「信じられないんですけどぉ……」 |
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光一
「信じられないといえば、
かつてゴキブリ対策をしようと思ってね、
ネットでゴキブリ調べていた時期があったのよ」 |
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鳴島
「あー、いくら対策しても出る時出ますからねぇ」 |
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光一
「そうしたら"ゴキブリ秘宝館"ってサイト見つけたね。
今から7年も前だけどね」 |
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鳴島
「どんなサイトなんですかぁ?」 |
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光一
「ゴキブリ好きな人達が集うサイトで、
ゴキブリの飼育方法を写真付きで説明。
他に、ゴキブリのトレードや、売買をしていたね……」 |
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鳴島
「キモチ悪い!!」 |
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光一
「ボクも全ページ見たけど……鳥肌が立ったね……
infoseekの無料スペースだったので、
昨年の10月にサイトが消えちゃったけど……
あれは衝撃のサイトだったよ…………」 |
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鳴島
「まぁ、全国にはそういう人達もいるんですねぇ……」 |
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清香
「何の話してるんですかぁ?」 |
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光一
「ゴキブリ談義を綾香君と盛りあがってた」 |
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清香
「……………………
別に盛り上がる話題は無かったんですか?」 |
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光一
「ほら綾香君。
これが一般的な人間が、
G生物の話題について示す反応だよ?」 |
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鳴島
「私だって同じ反応していたでしょうよぉ!
変に誤解される言い方やめてください!!
私も一般的な方の人間ですからねぇ!」 |
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清香
「お姉ちゃん……ゴキブリが好きなのってどうなの?」 |
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鳴島
「完全に誤解!!」 |
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光一
「まあ、
ゴキブリ話は意外と盛り上がれるのも事実かねえ?」 |
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鳴島
「だから、そんな話を延々続けないでください!」 |