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鳴島
「はぁ〜…………」 |
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光一
「何だね?
先日同様…………
人の顔を見るなり……」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「ゲテモノを見るような
そんな視線で……
失礼ではないかね?」 |
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鳴島
「それは…………
仕方がないんですよぉ……
マスターがまた……」 |
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光一
「何が仕方ないものかね?
また……と言うことは
先日同様の話題かね?
先日は君が店内で
『ゴキブリ』
とか……
『クモ』
なんて叫ぶから……
お客様が帰られたんだぞ!」 |
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鳴島
「それは反省してますけどぉ……」 |
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光一
「じゃ、その表情は……」 |
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鳴島
「だってぇ…………」 |
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光一
「だってぇ?」 |
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鳴島
「マスター……この前はぁ、
クモに顔面を這われた……
って言っていて……」 |
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光一
「言っていて?」 |
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鳴島
「しかも…………
そのクモが
ゴキブリを主食にしているからぁ、
『ゴキブリと間接キス♪』
って言っていて……」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「今度は本当に
ゴキブリに飛びつかれたんですねぇ♪」 |
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光一
「がぁぁぁぁぁ!!!!
人のトラウマをぉぉぉ!!」 |
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鳴島
「マスターってホンット……
虫には人気があるんですねぇ♪」 |
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光一
「『あるんですねぇ♪』
じゃねぇぇぇぇ!!!!
てゆーか、
『虫には』?
私の人気は虫どまり……
だとでも言うのかね?」 |
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鳴島
「ほえ?
人気があることは
良い事ですよぉ?」 |
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光一
「人気があるとかの問題か!?
というか、
私の人気は虫どまり?
って質問に回答はなしかね!?」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「無言!?
というか……
その意味ありげな笑みは何?
何様なの?」 |
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鳴島
「ウェイトレスさま〜♪」 |
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光一
「日本語で答えんかー!!」 |
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鳴島
「日本語で答えてるじゃないですかぁ」 |
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光一
「意味が違う…………」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「無言で頬を赤らめるな!!
それこそ意味がわからん!!」 |
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鳴島
「はいはい……
私が間違えたですぅ。
『虫には人気がある』
じゃなくてぇ、
マスターはぁ
『虫にも』人気あるですねぇ。
はぁ、オメデトですぅ」 |
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光一
「訂正は良いのだが……
釈然としないぞ?」 |
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鳴島
「ほぇ?」 |
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光一
「人気うんぬんと、
君の態度はこの際置いといて……
この事件はだね、
ゴキブリがたまたま……
そう……たまたま
私目掛けて飛んできた……
それだけの事だ!!」 |
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鳴島
「そして、
飛びついたゴキブリにぃ
首筋を…………
よ〜じ〜の〜ぼ〜られたぁ♪」 |
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光一
「ヒィィィィィィ!!
あの感触がよみがえるぅ!
ぎゃぁぁぁぁ!!
さ、サブイボがぁぁぁぁ!!」 |
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鳴島
「ゴキブリが……
マスターの首を
じわりじわりと頭の方へ……」 |
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光一
「止めたまえ!!
思い出しちゃうじゃないか!!
あの…………
チクチク痛い感触をぉ!!」 |
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鳴島
「しっかしアレですよねぇ♪」 |
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光一
「ん?」 |
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鳴島
「良い事は続く♪
クモの次はぁ、
ゴキブリに這われたぁ♪」 |
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光一
「言葉間違ってる!!
『災いは続く』……だ!
それに……
全然『良い事』じゃない!!」 |
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鳴島
「まあまあ…………
何にでもモテるのは
良いことですぅ♪」 |
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光一
「だから…………」 |
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鳴島
「マスターの色男♪
虫さえイ・チ・コ・ロ♪」 |
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光一
「……………………」 |
ゴン!!
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鳴島
「にゃ!?」 |
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光一
「鉄拳制裁!!
言って分からないウェイトレスには
拳での教育が必要かな?」 |
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鳴島
「ふにゃぁぁぁぁぁ!!
マスターひどいですぅ!!」 |
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光一
「うるさい。
私の受けた精神的苦痛は……」 |
カランコロン♪
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お客様B
「こんちわ…………
……………………」 |
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光一
「いらっしゃいませ」 |
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鳴島
「みえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 |
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お客様B
「…………マスター…………
また後で来るよ……」 |
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光一
「え?
あ、あの…………」 |
カランコロン♪
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光一
「え…………っと…………」 |
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鳴島
「ぐみゅぅぅぅぅぅ!!!!」 |
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光一
「は〜あ…………
泣きたいのはコッチだよ」 |