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光一
「今回も小説アップしました。よろしくです。
で、だ……………………
というわけなんだけど、君たちはどう思う?」 |
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鳴島
「いや…………」 |
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清香
「まだ何が『というわけ』なのかを聞いていませんが」 |
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光一
「ん、いや……私が日記で書いた
『ゴキブリってカッコいいよね♪』って話」 |
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鳴島&清香
『はぁ!?』 |
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鳴島
「うわぁ…………マスターって
変人だとは思っていましたがぁ……」 |
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清香
「姉さんみたいに変人とは言いませんが、
少なくともYesって言えません…………
マスターのその……趣味というか趣向」 |
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光一
「ちょ、待って! 待って君達!!」 |
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鳴島&清香
『イヤです!!』 |
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光一
「いや、話を聞いて。ちゃんと日記を見て。
私はむしろ毎晩、ゴキブリに苦しめられてるの。
ゴキブリを好きって言ったのは、
かつての大学生時代の後輩の女子なの」 |
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清香
「あ、そうでしたか」 |
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鳴島
「とうとうマスターの趣味もここまでか……
と思いましたが、良かったですよぉ」 |
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光一
「…………君たちが私を
ホントに普段どう思っているのか、
非常に興味があるのだけど…………」 |
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鳴島
「聞きたいですかぁ?」 |
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清香
「お聞きになりたいんですか?」 |
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光一
「綾香君が言う内容は想像がつくけど、
清香君にその方向性で言われると、
非常に傷つきそうなので止めておく」 |
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鳴島
「ですよねぇ♪」 |
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光一
「というわけで…………
ゴキブリに対する一般的な人間の感想は
まあ十分に分かったよ」 |
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鳴島
「こればっかりは根本的に価値観が異なるというかぁ」 |
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清香
「さすがに共有できないですね…………」 |
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光一
「じゃあ…………」 |
『鳴島さんの『ぽに〜』な日々 その8 短期バイトでビバポニテ!』
(涼の宮様より)
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光一
「私がかつて…………
ポニーテールに出来る女子を
お店の採用基準にした件については?」 |
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鳴島
「マスターが変態であることは
よっく分かりましたぁ♪」 |
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清香
「お店をそうマネージメントしたいならともかく、
経営者の趣味だけで採用基準を作るのは、
ちょっと中長期的な問題があるかと」 |
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光一
「…………少なくとも君たちが、
私と価値観を共有してくれていない事だけは、
よく理解できた気がするんだけど…………
この価値観の差は埋められないのかね?」 |
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清香
「ほら、普段からポニテしている姉さんから
何か言ってあげたらどうなの?」 |
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鳴島
「えっ、私!?」 |
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光一
「そうだよ!!
綾香君はポニーテールなんだから、
ポニテ好きの私の価値観が分かるはずだ!」 |
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鳴島
「分かりません♪」 |
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光一
「何故だぁぁ!?」 |
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鳴島
「私はこの髪型が好きでしていますがぁ、
マスターはポニテにしている女性が好きなだけですよねぇ?
だったら、価値観が根本的にズレていますのでぇ」 |
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光一
「くっ…………何故、人は分かりあえない……」 |
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鳴島
「いや……マスターは
女性にとって危険な存在だと思われるのでぇ…………」 |
『鳴島姉妹年始挨拶と、ポニテスカウトの件』
(涼の宮様より)
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鳴島
「こうして狙った女性から逃げられるのではぁ?」 |
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光一
「あれは君の発言で逃げたんだろうが!」 |
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鳴島
「いや……マスターの変態的思考回路が
オーラとなって外に出ているからだと思いますけどぉ」 |
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光一
「いや、話せば分かる。話せば分かりあえる!」 |
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鳴島
「何をどこかで聞いた事のあるような言い方で」 |
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光一
「価値観が異なる人同士でも、
それで相手を一方的に非難したり、
執拗に、かつ不当に貶める事は
非常に許されない事だと思わないかい? なおかつ……
その相手が目の前にいないなら、なおさら」 |
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清香
「まあ、それはそうですね。
でも、残念ながら……世の中、自分と違う考え方の人を、
一方的に非難する人が多いですけど」 |
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光一
「そう。そして往々にして…………
体制派とか多数派と呼ばれる側に立つ人が、
少数派の人々を非難する事が非常に多い。
批判ではなく、非難ね……人格や出自への攻撃なんて
はっきり言えば卑怯極まりない。
民主主義の根本への冒涜でもあるね。
これは、その方が楽なだけではなくて、
自分自身が様々な境遇の人に
思いをいたさなくて済むという、
そういう回路も働いているからだ。
弱い側の人間を一方的に叩くというのは、
競争を強いられる社会の中において、
自分より下だと思い込める対象を作れる
その点において快楽ですらあるからだね。
障害者とか鬱病などの疾病者などを
非難する政治家や評論家が多かったり、
またネット世界でそれに同調する人が多いのも、
まさにそういうところに根本がある。
一度リアルの世界でそういう人……特に社会的弱者とされる人に、
正面からネット社会で発言している事を
言ってみると良い。
できないのは、そうした非難が往々にして感情論で
理性的・人間的ではないからだ」 |
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清香
「まあ……人間は多くの人は根本的に弱いし、
自分が弱者の側になってしまう恐怖は
常につきまとっていますからね。
それもうなづけますけど…………」 |
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光一
「私だって鬱病になる前は、
鬱病の人の事をよく知らなかったし、ましてや
その中に多様な人がいる事さえ知らなかったさ」 |
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鳴島
「どうして急に真面目な話になりましたかぁ?
また前みたいに真面目な話をされますかぁ?」 |
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光一
「いや、前の歴史話みたいに少し語るのは、
今回は無し。そうではなくて……今回は……」 |
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鳴島
「今回は?」 |
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光一
「何故…………
私のポニテに対する崇高な愛情が理解されないの?
特にその対象である女性から、ねえ?」 |
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清香
「そんな…………」 |
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鳴島
「当たり前の事を聞きたいんですかぁ?」 |