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光一
「ねえねえ、綾香君」 |
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鳴島
「なんですかぁ?」 |
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光一
「人妻と未亡人って
果たしてどちらが良いのかな?」 |
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鳴島
「はい?」 |
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光一
「いや、だからね。
人妻と未亡人って…………
どちらと交際するのがいいのかな?」 |
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鳴島
「あの〜、マスター?」 |
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光一
「何かね?」 |
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鳴島
「それって友達付き合いの事ですよねぇ?」 |
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光一
「何を言ってるかね、君は。
決まっているだろう」 |
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鳴島
「ですよねぇー」 |
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光一
「人妻と未亡人…………
男女の仲として…………
そう肉体的関係までを含めて、
どちらが良いかに決まってる!」 |
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鳴島
「威張って言う事じゃありません!」 |
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光一
「えー、どうしてかね?」 |
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鳴島
「社会通念上、許されないでしょ、それ」 |
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光一
「そうなのかね?」 |
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鳴島
「当たり前じゃないですかぁ」 |
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清香
「まあ、未亡人となら問題ないですよ。
向こうの旦那さんいないんですし」 |
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光一
「だよねえ」 |
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鳴島
「そもそも、マスター自身が既婚者でしょう」 |
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光一
「そりゃそうなんだけど…………」 |
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清香
「どこからそんな話になったんですか?」 |
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光一
「あー…………
1ヶ月半ぶりにドラクエUプレイ日記書いたんだ。
で、出てくる町に…………
女だらけの町があるので」 |
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鳴島
「あー…………またそういう」 |
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光一
「で、その町の男達は漁で出払ってるんだけど、
その船が魔物に襲われて沈没してるんだ。
つまり、町の女性は全員未亡人か、
恋人を亡くした若い女性ばかり♪」 |
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鳴島
「かわいそうな町ですねぇ」 |
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光一
「そこで私の脳裏に浮かんできたんだけど……
人妻・未亡人…………
どちらの方が性的対象として燃えるだろう?」 |
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鳴島
「だから何を聞いてるんですか、アナタ!」 |
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光一
「あ、それともあれか?
帰らぬ恋人を待つ女性…………
この心の隙間に入り込んで、
そしてベッドイン……
こっちの方が燃えるか?」 |
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鳴島
「同意を求められても困りますぅ!」 |
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光一
「背徳的な恋は、
すっごい燃えると言うよ?」 |
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鳴島
「その先には破滅が待ってる気がしますがぁ」 |
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光一
「そもそも、
未亡人や人妻、帰らぬ恋人を待つ女性。
この人達を自分との性的対象にする。
これが悪い事だと誰が決めたんだね」 |
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鳴島
「いや……誰が決めたとかでなく……」 |
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光一
「野生の動物世界ではそんな道理は無い。
人間も同じ動物なら、悪い事とされるのは、
これいかなることかね?」 |
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鳴島
「だって、旦那さんがいる女性とか、
彼氏の帰りを待ってる女性とか……
恋愛対象どころか性的関係になったら
どう考えてもマズイですよねぇ!?」 |
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光一
「人間社会でそんな規定が厳格になったのは、
この100年ちょっとの事だぞ?
しかも今でもそうではない社会もあるよ」 |
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鳴島
「ほえっ!?」 |
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光一
「例えば1000年前の源氏物語。
あれは当時の日本の宮廷社会を描いているが、
人妻・幼女・未亡人・実母…………
なんでも恋愛どころか肉体関係になってるよ」 |
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鳴島
「源氏物語は物語じゃないですかぁ!」 |
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光一
「いや……あれは当時の宮廷では
普通……というよりも、理想の男子像だからね?
そう考えれば、日本でも珍しくはなかったんだよ?」 |
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鳴島
「そうかもしれませんけどぉ…………
何かはぐらかされてるようなぁ」 |
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光一
「日本でむしろそれが『ダメ!』ってなったの、
江戸時代とか明治以降だからね?
ヨーロッパの生活概念を取り入れる中でだから。
日本でも例えば…………
昭和前期までは地域によっては
『手籠め婚』なんてあった位だし。
戦後それを実行して訴えられ、有罪判決が出た時、
犯人達には驚きを持って迎えられたともいうしね」 |
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鳴島
「手籠め婚って?」 |
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光一
「早い話が、女性をさらって、強姦した上で
貞操奪ったから自分の妻だ!
…………っていう手法」 |
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鳴島
「えっ、そんなの日本にあったんですか!?」 |
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光一
「つい半世紀ちょっと前までは、
やってる地域もあったよ。
夜這い婚とかだって庶民層レベルで
それなりにあった社会だし」 |
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清香
「まあ、価値観なんて時代で変化しますけどね」 |
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光一
「この一夫一婦制はむしろ、
近代的な強国というか…………
人間社会の維持発展のため
採用された側面が大きいんだから」 |
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清香
「というと?」 |
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光一
「一夫多妻制の場合、
夫は多数の妻と子供に経済的・資源的リソースを
割くしかないんだ。よって、
これは多くの人間にとって採用が難しい。
ただ一方で王室・貴族・富裕層などは、
自分の勢力を拡大・維持するために、
むしろ盛んに行ってすらいたんだ。
日本だって名目的に側室制度なんて廃止したの
大正時代に入った頃からだよ。
実質的には明治期からかな」 |
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清香
「つまり、背徳的観念というより、
現実的事情から一夫一婦制になると?」 |
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光一
「何が背徳的かって、その時々で決められるし。
まあ、それが多くの人に採用された、
で、近代社会では背徳的として、
そういった行為が多くの地域では排除された
……と、まあそんなところだよねえ。
今だって性的サービスのお店無くならないでしょ?
そういう意味では残ってすらいるんだ」 |
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鳴島
「マスター……段々論点ずらしてますよねぇ?」 |
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光一
「君にしてはよく気がついたね」 |
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鳴島
「むっ、人をバカにしてぇ」 |
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光一
「AVでもHなゲームでも…………
人妻とか未亡人とか彼氏持ち彼女とか……
『寝とりゲーム』多いじゃない。
あれは背徳的観念が好きな人が多い証だよ」 |
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鳴島
「少なくとも…………
女性の前でそれを言うのはどうでしょうか!」 |
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光一
「だからこれは一種の『投影』なんだって」 |
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清香
「投影?」 |
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光一
「まあ、また近いうちに少しだけ深くした話をするかい?
前の歴史話みたいなやつ。今回はやらんけど。
『投影』……つまり、自分がこうしたいっていう欲求を
実際にそれを行ってはマズイ、あるいは出来ない
そういう場合に、他者に対して行うとか…………
そういう感じの事。
あるいは、それを出来る人を羨むとか……
それを出来た人を嫌悪するとかの感情もそう」 |
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鳴島
「自分を誉めたいけど、
自分で自分を誉められないので、
相手を誉めるっていうのはどうですかぁ?」 |
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光一
「それも投影の一種と考えていい。
相互依存的でマズイ人間関係の場合には、
自分を甘やかして欲しいので、
逆説的に相手を甘やかす……なんてのもそう。
背徳的な事に関しては、
それをしてはいけない……と思うから、
ゲームやコミックの背徳的作品に興奮・共感する
って、そんなのが投影になるかな」 |
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鳴島
「で、マスターは結局何が言いたいんですかぁ?」 |
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光一
「若い人妻・未亡人・彼氏が帰ってこない女性。
これって欲求対象として、
すっごい燃え上がるものがあるよね!!」 |
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清香
「すいませんが、今回も…………」 |
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鳴島
「全然理解できないし、共感できません」 |
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光一
「何故っっっ!!」 |