8/5(月)
そもそも上下関係をつけて、どうしたいんですかぁ?

光一

ホント……何で勝てなかったんだろ?
鳴島

……………………
光一

キックボクシングで鍛えているはずなのに、

どうして嫁に腕相撲で勝てなかったのか
鳴島

……………………
光一

しかも、右腕・左腕……両方で負けるなんて!
鳴島

マスター
光一

なんだね?
鳴島

奥さんと腕相撲して負けて、

それがどうかしたんですかぁ?
光一

『どうかした』どころじゃないだろ!?
鳴島

ほぇ?
光一

私がかねてから言っているように、

『亭主関白』になろうという身だよ、私は
鳴島

はぁ……まだやってたんですかぁ?
光一

まだやっていたとはなんだね!?
鳴島

それで検定を受けたら…………

『関白度20パーセント

亭主関白は諦めましょう』

って、既に結論出てたじゃないですかぁ
光一

あんな検定ごときに…………

私の価値が分かるはずが無い!
鳴島

はぁ…………

で、腕相撲がどうしたんですかぁ?
光一

嫁に負けたんだよ。

2回やって2回とも…………
鳴島

はぁ?
光一

『はぁ?』じゃないでしょ。

私の亭主関白度数を上げるために……

まずは嫁を実力で打倒しようとしたのに、

負けてしまったんだよ!!
鳴島

奥さん倒してどこに行くんですか、アナタ
光一

いや、亭主関白になろうというのだよ
鳴島

いやそれは…………
清香

『亭主関白』なるものは、

オーラじゃないですか。

なんというか、力でねじ伏せるとか、

論点がすり替わっているような
鳴島

お、清香。

良い事言った!!
光一

何、君達…………

その薄いオブラートに包んだ先に、

何か言わんとしている事がある?
鳴島

だから〜。

そもそも奥さんとマスターの間に、

上下関係を付けてどうするんですかぁ?
光一

そ、それは…………
清香

それにマスター、亭主関白はあくまで、

オーラとしてにじみ出るもの…………

だと思うので、腕力で勝っても意味が無いかと
光一

オブラートにくるむのを止めたね!?
鳴島

どこの家庭に奥さんを…………

腕力でねじ伏せてみよう!

なんて亭主がいるんですかぁ
光一

ここにいたよ
鳴島

はぁ…………ん?

『ここにいたよ』ですかぁ、

過去形になってますねぇ
清香

腕力でも勝てない事を悟ったと
光一

腕力『でも』とはなんだね!?

私が嫁に勝っている要素が、

まるで何一つ無いようではないかね!
清香

受け取り方はマスターの自由ですが
鳴島

認めちゃった方が楽ですよー♪

さあさあ、認めちゃいましょう!!
光一

イヤだ! 認めん!

私は亭主関白になるんだ!
鳴島

そもそも意識してなるものじゃないでしょう
清香

そうやって意識するあたりが、

コンプレックスというか…………

マスターの地位を下げそうですが
光一

私の地位が下がるって話までなるの!?
鳴島

ほら、度量の広い男は、

認める事から入るんですよぉ♪
清香

だからマスターも早く、

家庭生活では奥さんの下にいる事を、

全身全霊で認めましょう
光一

それって度量の広い男って言うのかね?

一歩間違うと私は、卑屈な男にならないかね?
鳴島

それはマスター次第ですよぉ
光一

ダメじゃないか!!

自分で言うのもなんだけど……

30円のジュース買っただけで、

『無駄遣いしてすいません!』

って全力で土下座する男だよ、私!
鳴島

じゃあ、もうその位置で良いじゃないですかぁ
清香

そうそう。そこを定位置にすれば、

争いごとも起きずに平和ですよ
光一

何? 私の地位はそこまで…………

そこまで卑屈にならんといけないの?
鳴島

マスターの度量がそこまでなんですからぁ、

そこで止まればいいじゃないですかぁ♪
光一

君、今サラリと酷い事言ったよね、今!?

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