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鳴島
「……………………」 |
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清香
「……………………」 |
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光一
「おはよう……って、何、君たちの視線?」 |
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鳴島
「いや……まあ、なんと言いますかぁ」 |
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清香
「まあ、マスターらしいんじゃないかと」 |
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光一
「何の話!?」 |
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鳴島
「いや、警察に交通違反で捕まって、
切符切られてですよぉ」 |
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清香
「『やった、ネタに出来る!』
って喜ぶって……救いようがないなあと」 |
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鳴島
「まあ、そんな話を清香としていました」 |
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光一
「救いようがないって!?」 |
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鳴島
「いや、そうじゃないですかぁ」 |
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清香
「8年半前に新車を盗まれた時も……」 |
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鳴島
「3年半前に車で事故を起こした時も、
『ネタに出来る!』って発想ですからねぇ」 |
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光一
「さすがに新車を盗まれた時は凹んだぞ!」 |
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鳴島
「の割には、日記に書いていますよねぇ」 |
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光一
「ぐっ…………」 |
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鳴島
「テキストサイト管理人って、
前々から思っていましたけどぉ、
つくづく救いようが無いですよねぇ」 |
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清香
「自分に起きた不幸を、
早速ネタにしているあたり……」 |
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鳴島
「普通パトカー内に連行されたら、
『ああ、しまったなあ』
って思うんじゃないですかぁ?」 |
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光一
「思ったよ。思いはしたよ。
『ああ、やっちゃった!』とは」 |
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鳴島
「でも同時に…………
『初体験パトカー連行。
警察官、面白い事言わないかな?』
…………でしょ?」 |
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光一
「せっかく捕まえられたんだもん。
面白い事言ってくれなかったら、
もったいないじゃないかね?」 |
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鳴島
「普通は警察に捕まって、
『面白い事起きないかな?』
とは考えないと思いますけどぉ」 |
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光一
「だってそうでもないと、
交通違反2点減点、
7000円がパーだよ!?
7000円も使って、ネタが何一つ無かったら、
とんでもなくもったいないだろ!?」 |
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清香
「普通は捕まった事を反省するのでは?」 |
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光一
「いや、しかし7000円だよ!
事故とか起こしたならともかく……
全然その問題も無いのにも関わらず、
偶然後ろにパトカーがいただけ、
それだけで7000円も取られたんだぞ?」 |
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鳴島
「車、一時停止しなかったからでしょ」 |
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光一
「私的にはしたつもりだったのに、
警察がそう認めなかったんだもん。
ボクは彼らの主観と小遣い稼ぎのための
いわば犠牲者にされてしまったのだよ」 |
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鳴島
「全然反省してない!?」 |
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光一
「ともあれ、これで何も記事を書かなかったら、
7000円をドブに捨てたようなものじゃないか」 |
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清香
「過料はそういう種類のものではないような」 |
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鳴島
「こういうのを開き直りというのでは」 |
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光一
「開き直ってないよ!
ちゃんと違反料は即座に納めにいったし、
警察の聴取では全部『イエス』しか答えてない」 |
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鳴島
「まあ、そういう意味では……」 |
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清香
「面従腹背って言うんでしょうねえ」 |
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光一
「なんか、散々な言われようだな、私」 |
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鳴島
「マスターが心の底から反省しないで、
交通違反した事を
ネタになんて使うからですよぉ」 |
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光一
「そんな事を言ったら…………
『店の皿を割っても反省せず』
『盗み食いをしても反省せず』
『店の酒を飲んでも開き直る』
そんな君の方がよっぽどだと思うが?」 |
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清香
「まあ、それは確かに」 |
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鳴島
「ちょ!!
私に何で飛び火してるんですかぁ!?」 |
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光一
「いや、君も私の事、
言えた義理じゃないんじゃないかなと」 |
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清香
「それは否定しがたいですね」 |
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鳴島
「ちょっと、清香は妹なんだから、
姉の私をちょっとは援護してよ」 |
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清香
「そう言われても」 |
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光一
「援護しようがないんじゃ」 |
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鳴島
「マスターが乗っからないでくださいよぉ!
そもそも、マスターが糾弾される立場でしょぉ!」 |
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光一
「あれ? そうだっけ?」 |
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清香
「そうだったっけ?」 |
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鳴島
「ちょっとぉ、清香〜!!」 |