|
光一
「……………………」 |
|
鳴島
「まぁ、なんと言いましょうかぁ。
マスターもとうとう、
年齢相応の扱いをされるようになりましたねぇ」 |
|
光一
「誰が年齢相応かね!!
私はまだ31歳10ヶ月弱足らずの若者だぞ!
それを……………………」 |
|
清香
「小学生に『おじちゃん』って呼ばれたのが、
余程にショックだったと…………」 |
|
光一
「当たり前じゃないかね。
人生で初めて『おじちゃん』と呼ばれた」 |
|
鳴島
「三十路の人なんてぇ、
小学生から見れば、おじちゃんですよぉ」 |
|
光一
「だとしたら君は、おばちゃんではないかね」 |
|
鳴島
「私はまだ29歳ですよぉ!!
三十路にはなっていません!!」 |
|
清香
「…………大して変わらない…………」 |
|
光一
「それと私は、体内年齢は26〜27歳だからね!
君の実年齢よりも若いからね!!」 |
|
鳴島
「そこの年齢と比較するの自体おかしいですよねぇ?」 |
|
清香
「まあ、でも……実年齢よりも6歳位若い。
よく実体以上の若さを保ってますね、マスター」 |
|
光一
「物言いには引っかかりを感じるが、
今回から2回続けて話す予定の
『栄養療法』と関係してくるかな。
私もこの休職中の半年で、体内年齢が6歳若返った。
栄養療法とスポーツ療法の効果を実感してる」 |
|
鳴島
「今回も精神疾患シリーズの話ですか?」 |
|
光一
「そう。
栄養療法は重要な側面を持っているから。2回連続でやる」 |
|
清香
「今までの精神疾患シリーズの話は以下の通りです。
うつ病:『(その1、その2、その3)』
依存症:『(その1)』、
強迫性障害:『(その1)』、
不安障害:『(その1)』」 |
|
鳴島
「で、どういう話なんですかぁ?」 |
|
光一
「うん。まず確認しておく事なんだけど、
うつ病の一般的な治療法は『投薬治療』なんだ。
とりわけ、セロトニンの働きを高める
『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』が知られる」 |
|
鳴島
「前回も前々回も話に出てきましたねぇ」 |
|
光一
「今回から栄養療法の話をするわけだけど、
これは実はダイエットなどにも関連するので、
適度に痩せたい願望のある人にも向けられる話。
後、近年増えている生活習慣病や肥満についても、
適応できる話なので、精神疾患と関連が無い人にも
まあ、一般の人にも向いた話と言えるかな」 |
|
鳴島
「ほぉー、ダイエット!!」 |
|
清香
「…………ダイエットって、
痩せるための食事って思われがちですよね」 |
|
光一
「あれは誤りだね。ダイエットというのは一般的な食事を指す。
あるいは治療のための特別食を指す言葉であって、
痩せる事そのものではないはずなんだが……。
痩せる事を目的化したダイエットが、
うつ病を引き起こす可能性についても、
この2回の栄養療法の中で触れる事にしよう。
この2回はかなり科学的な話になるわけだ」 |
|
鳴島
「う…………」 |
|
清香
「お姉ちゃん、ダイエットって…………
痩せる食事としか思ってなかったでしょう」 |
|
鳴島
「ぁ……がぁ…………」 |
|
光一
「まず、うつ病がどうして起こるのか…………
今までは環境その他の要因を話していたけど、
人間の脳内の神経伝達物質がどうなっているかの観点から、
今回は話そう。栄養療法の重要な事を認識してもらうために」 |
|
清香
「脳内伝達物質?」 |
|
光一
「そう。人間の考え・感情の高ぶりや抑制・欲求など、
これは脳がつかさどっている……事は理解できるよね?」 |
|
鳴島
「それくらいは分かりますよぉ♪」 |
|
光一
「よかった、綾香君の頭でも分かるか」 |
|
鳴島
「どういう意味ですかぁ!!」 |
|
光一
「このように怒る……という感情の発露も、
脳内の伝達物質の働きによるものなんだ。
人間は理性を持つ生き物と言われるが、
理性でもなんでも、コントロールしているのは脳なんだね」 |
|
清香
「そうですね。何かを覚えるのも脳ですし、
身体を動かすのも全部、脳からの指令なんですよね」 |
|
光一
「と言う事は、脳の働きをつかさどる、
脳内の神経伝達物質が、うつ病にとって非常に重要な要素。
…………という事は容易に理解が出来るね」 |
|
鳴島
「まあ、そう言われるとそうですね。
単なる感情論で片付ける人もいますけどぉ、
そうではないですよねぇ」 |
|
光一
「まず、重要な脳内の神経伝達物質について覚えてもらおう。
一応基本的な話のベースは、
うつ病がどうして起こるか? 脳がどうなっているか?
脳の問題について、栄養学の観点では?
ということだからね。念のため確認しておくね」 |
|
清香
「伝達物質……何があるんですか?」 |
|
光一
「じゃあ、綾香君を使って実験をしてみよう。
人間の感情がどう移行するのかを見てもらって、
そこに脳内の神経伝達物質がどう絡むのかを説明して、
うつ病とは何か? 栄養療法とは何かについて理解してもらおう」 |
|
清香
「実例としてですか? はい、どうぞ」 |
|
鳴島
「何それ!?
私の意志を無視して勝手に話が進んでる!
まるで私をモルモット扱いですよね!?」 |
|
光一
「はいはい。無駄口はそこまで。
綾香君、お店の伝票整理お願いするね」 |
|
鳴島
「えっ、あ、はーい」 |
|
光一
「……………………」 |
|
鳴島
「……………………」 |
|
清香
「お姉ちゃんが仕事に集中してますね」 |
|
光一
「珍しい事だね」 |
|
鳴島
「…………と、終わったー。
お、たった10分でこれだけの伝票整理が出来るなんて!
私、すっごーい!!」 |
|
清香
「仕事終わって喜ぶどころか、
自分をほめてますね」 |
|
光一
「仕事をやり遂げた達成感と興奮が見てとれるね」 |
|
鳴島
「…………と、マスター、仕事終わりましたよぉ」 |
|
光一
「ありがと。
と、さっきあれだけ興奮していた綾香君が、
もうすっかり冷静というか平静になっているよね」 |
|
清香
「そうですね。
興奮に対するブレーキがかかったみたいですね」 |
|
鳴島
「2人してなんですかぁ…………
私をじろじろ観察してぇ…………」 |
|
光一
「では、仕事を与えられてから終わって報告するまで。
ここまでの綾香君の感情について、
脳内の神経伝達物質の関係で説明しよう」 |
|
鳴島
「なんか、私……良いようにダシにされた気が」 |
|
光一
「1.『ノルアドレナリン』について。
これは、仕事など何かに集中している時に分泌される脳内物質」 |
|
清香
「なるほど。いつもはうるさいお姉ちゃんが、
黙々と伝票整理していた集中力に表れてるんですね」 |
|
光一
「2.『ドーパミン』について。
これは何か仕事等を成し遂げて、
達成感や喜びを感じる時に分泌される」 |
|
清香
「仕事が終わった後のお姉ちゃん、
確かに喜んでいましたよねぇ」 |
|
光一
「3.『GABA(γ-アミノ酪酸)』について。
これは、『ノルアドレナリン』『ドーパミン』などに見られる、
興奮系の脳内神経伝達物質の働きを抑制するブレーキ役ね」 |
|
清香
「確かに仕事終わって報告した時には、
いつも通りの平静さに戻っていましたね」 |
|
光一
「4.『セロトニン』について。
今までの1〜3の興奮系・抑制系の働きを
うまく調整するのが、この脳内神経伝達物質ね」 |
|
清香
「確かにずっと集中し通しでも、興奮しっぱなしでも、
あるいは逆にブレーキをかけ過ぎて、集中できない、喜びも感じないなら、
これは問題ですもんね……その調整役ですか」 |
|
鳴島
「あれ? 『セロトニン』って今まで出て来ていた、
『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』の
あの『セロトニン』ですかぁ?」 |
|
光一
「そう。ご名答。
なので、この後に私が言いたい事は分かるかな?」 |
|
鳴島
「うつ病の要因で、脳内の事に関して言えば、
『セロトニン』がうまく分泌されないから、
調整役がいなくて、
興奮し通しで感情のブレーキが効かなかったり、
あるいは感情のブレーキがかかりすぎているって事ですかぁ?」 |
|
光一
「うん。そういう事。
うつ病って言うのは、
心身のバランスを調整する『セロトニン』の不足が
一因と考えられているんだ」 |
|
清香
「そこで度々、薬物療法の話になると、
『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』
が出てくるわけですか」 |
|
光一
「そういう事。
『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』
について簡単に言うと、
『セロトニン』の不足を抑え込む役割を持つ薬なんだ。
簡単に言うと、『セロトニンの再取り込み』というのがあって、
時間が経つと脳内の『セロトニン』の量は減っていくんだ。
その減っていくのを阻害する薬なんだね」 |
|
鳴島
「『セロトニン』が減るとどうなるんですかぁ?」 |
|
光一
「通常の人は『セロトニン』が多く存在し、分泌されるんだが、
うつ病の人はこれが不足して、さらに減少するんだ。
よって、『ノルアドレナリン』『ドーパミン』『GABA』などの脳内神経伝達物質を
調整する物質……『セロトニン』が減少するので、
感情調整がうまくいかずに、うつ病になってしまうんだね。
これが脳内状況における、うつ病の簡単な説明になるかな」 |
|
清香
「じゃあ、その『SSRI』を服用していれば
うつ病は良くなるんですか?」 |
|
光一
「効くのに2〜4ヶ月など時間がかかるとも言われるが、
症状を軽減したり、快方に向かわせる効果はあるよ。
ただし、そうした一般的な投薬治療のみでは、
うつ病が改善する人は、残念だけど多数派ではないようだ」 |
|
鳴島
「何でですかぁ?
『セロトニン』が減る事を抑える薬を飲んでいれば、
脳の働きが普通の人のように戻るのではぁ?」 |
|
光一
「『SSRI』に代表される抗うつ薬によって、
『セロトニン』の分泌量が増えるわけではないからだよ」 |
|
鳴島
「え?」 |
|
光一
「いや、うつ病の人というのは、『セロトニン』があまり分泌されない。
増えないのに減少するから、減少するのを抑えるのに、
『SSRI』を服用しているわけでしょ」 |
|
清香
「つまり、減るのは抑えたけれども、
『セロトニン』を増やす方法を採らないと、
結局は完治しない可能性があると」 |
|
光一
「そういう事だね。さらに、多用する事で、効き目が悪くなり、
抗うつ薬、抗不安剤、睡眠薬などの服用する薬が増えるケースもある。
結果として、薬に対する依存度が高くなり、
かえって悪化するケースもあるんだ。
最終的には完治して、薬を手放さなくてはいけないんだよ」 |
|
鳴島
「どうして、脳内神経伝達物質の働きが悪くなるんですかねぇ?」 |
|
光一
「それは幾つかの要因があるね。
まず1つには、社会生活でストレスを感じる機会が増えた事。
…………社会環境と人との関係が変わって来た事だね。
うつ病の要因として、そんな事を今まで話してきたけど、
そうすると、脳内では『興奮系』『抑制系』『調整系』の
脳内神経伝達物質のバランスが崩れやすくなるんだ」 |
|
清香
「なるほど」 |
|
光一
「通常の……健康な人というのは、『興奮系』『抑制系』『調整系』の
『ノルアドレナリン』『ドーパミン』『GABA』『セロトニン』が
バランス良く脳内で分泌されているんだよ。
そうした状態を、『心や感情が安定した状態』というわけだ」 |
|
鳴島
「それが崩れて、『心や感情が不安定な状態』になったのが、
うつ病ということですかぁ?」 |
|
光一
「そういう事だね。脳内神経伝達物質のアンバランスが、
精神的なイライラ・焦燥感・不安・落ち込みなどなど
うつ病に見られる諸症状に繋がってしまうわけだ。
よって、うつ病というのは、
『怠け』『根性無し』などの気分屋さんではなく、
極めて科学的な病気なんだという事を重ねて言っておこう」 |
|
清香
「で、重要なのは今、
『セロトニン』を増やす話ですよね?」 |
|
光一
「もっと正確な言い方をすれば、
各種脳内神経伝達物質の分泌量が増え、かつ、
安定的になるためには、どうするかという話ね。
その事によって、感情を安定させ、うつ病を治すわけだ」 |
|
鳴島
「それが、『栄養療法』とどう関係するんですかぁ?」 |
|
光一
「それはね…………
…………綾香君は、おっぱい大きいよね?」 |
|
鳴島
「はあっ!?」 |
|
光一
「何カップ? F……もしかしてGとか?
どうしてそんな大きくなったの?」 |
|
鳴島
「セ、セ、セ、セクハラじゃないですかぁ!!」 |
|
光一
「セクハラとは心外な!!
私は純粋に、人間の成長に関する話をしているよ。
おっぱいの中には何が詰まってるの?
空気なわけないよね? 何? 何?」 |
|
鳴島
「し、知りませんよぉ!!」 |
|
光一
「と、これ以上追及すると、警察を呼ばれそうなので……
人間は成長する上で各種栄養素を必要としている。
タンパク質・各種ビタミン群がこれに当たる。
また、カルシウム・マグネシウム・亜鉛などの
微量ミネラル群……これらを摂取する事で成長し、
また身体を維持しているのは、
誰でもうなづける事だよね?」 |
|
清香
「そうですね。
お姉ちゃんの、卑しい程大きな胸も、
そうやって出来上がってきたわけですね」 |
|
鳴島
「何で何度も私の胸の話を出すの!?」 |
|
光一
「まず、うつ病について……多くの人に関して、
結論から述べるとね、
『脳に必要な栄養素の摂取が不足している』
ということなんだよ。
成長と身体の維持には栄養素が必要だが、
一部の栄養素について、不足しているんだ。
これを日々の食事で改善する事が重要になる」 |
|
清香
「栄養が不足?」 |
|
光一
「そう。不足している。多くの現代人に当てはまるが。
なので、ストレスその他で脳内神経伝達物質のバランスが崩れると、
その分泌のバランスを取り戻すことが非常に難しいとも言える」 |
|
鳴島
「でも、今の日本人で餓死したり、
栄養失調になっている人って、
…………基本的にいないですよぉ」 |
|
光一
「その点を疑問に感じる人が多いかもしれない。
なので、今回はそこについて重点的に話をしよう。
ちなみにこの『栄養療法』は
『オーソモレキュラー療法』とも言うんだ。
この治療法を採用しているクリニックが、
上記リンクから、都道府県別に検索できるので、
医者を求めてさまよっている人がいれば、参考までに」 |
|
清香
「全国に沢山、心療内科や精神科はあると思いますが、
探してみると『栄養療法』を採用しているクリニックは
そんなに多くは無いんですね」 |
|
光一
「そうだね。日本ではまだ少ないみたいだね。
で、今回と次回の栄養療法に関する
私の話は、日本での提唱者でもある、
溝口徹先生(新宿溝口クリニック)の話がベースなので、
興味がある方は彼の著作やセミナーも
読んだり出てみても良いと思う」 |
|
鳴島
「まず、
『栄養療法(オーソモレキュラー療法)』って何ですかぁ?」 |
|
光一
「薬物の使用を出来るだけ避けて、
食事やサプリメントによって症状の回復を図る療法だね。
薬物は副作用や多量化のリスクを持つが、
栄養のバランスを整える治療は副作用が無い」 |
|
清香
「つまり、うつ病に対するスタンスが、
薬物よりも栄養に重きを置いている治療法という事ですか?」 |
|
光一
「そう。
それは完治後の生活スタイルそのものにも関わるね。
『うつ病は栄養素の欠乏によって引き起こされる』
というのが根底理解にあるのさ」 |
|
鳴島
「それで食事の仕方を変えていくと?」 |
|
光一
「冒頭にダイエットなど……うんぬんと述べたが、
食事の改善をする事で、
体質の根本改善が促せるため、
うつ病の治療に限らず、
生活習慣病や肥満などの改善にも役立つ……って事さ」 |
|
清香
「でも、お姉ちゃんが先ほど言ったように、
今の日本人で餓死者ってほぼいないですよね?
なのに、うつ病は栄養素の欠乏によって引き起こされるとは、
どういう事ですか?」 |
|
光一
「今の日本人の食事をよく観察してみよう。
確かに、身体を維持するためだけなら、
摂取カロリー量は足りているかもね。
いや、カロリーベースだけなら、過剰に摂取している。
ゆえに、生活習慣病や肥満の温床にもなっている」 |
|
鳴島
「?????
もうちょっと分かりやすく言ってもらえませんかぁ?」 |
|
光一
「では、私達が基本的に毎日食べるものを想定しよう。
白米・パン・ラーメンにパスタなどの麺類など、
これを多くの人は主食にしているよね?
つまりは、米・麦を原材料とした加工食品だ」 |
|
清香
「まあ、そうですね」 |
|
光一
「さて、今の日本人はあまりにも忙しい。
サラリーマンなどは、朝食や昼食をどうしているだろう……」 |
|
鳴島
「朝食はパンを適当に焼いて2〜3枚食べたり、
昼食は忙しいので、
おにぎり2〜3個や、サンドイッチなどですかね」 |
|
光一
「そういう人を見てどう思う?」 |
|
鳴島
「あんまり食事のバランスが良くない気が……」 |
|
光一
「子供達も同じだ。とにかく今の日本は余裕が無くなった。
親が共働き、かつ忙しくなったため、パンだけの朝食だったり、
あるいはパンや白米に代表される
炭水化物を日常的に食べ慣らされているね。
食卓が非常に貧しくなっているんだ。
今日の朝食もメインのパンのみとか……そんな感じね」 |
|
清香
「それは否定できないかもしれません」 |
|
光一
「つまりね、今の日本人の生活全体は、
ストレスが過剰な忙しい社会。
よって、脳内の神経伝達物質が不安定になりやすいんだ。
なのに、食事は簡単に出来てしまう、あるいは食べられる
炭水化物中心メニューになっている。
何が言いたいか分かるかい?」 |
|
清香
「生きている上で必要なカロリーは十分に摂取してるけど、
不足する栄養素が存在しているって事ですか?」 |
|
光一
「そう。…………もっと言うとね、
お米もパンも食べる必要は無いんだ。
人間にとって炭水化物は根本的に不必要だ。
次回話す『低血糖症』の観点からすれば、
これは食卓から外すべきなんだ」 |
|
鳴島
「え!?」 |
|
光一
「人間の歴史を振り返れば、
炭水化物が不要な事は、容易に理解できる。
人間は太古の昔や、古代……中世くらいまでは、
元々、人間はお米・麦由来の炭水化物ではなく、
肉・草木摂取中心の生活をしてたんだ。
炭水化物がメニューのメインになった事で、
単位面積当たりのカロリー摂取可能量が増えたので、
人口が爆発的に増えて、文明が発展した…………
そういう歴史を我々人類は持っているんだよ」 |
|
清香
「言われてみればそうですね。
昔から稲作をしていたわけでもないですし、
日本人だって、白米ご飯を食べていた人は少数でしたよね」 |
|
光一
「日本でもお米が生活の中心になり始めたのは、
せいぜい400〜500年程度前の事で、
炭水化物が食卓の中心になったのは、
パン・パスタ・麺類が大量に流入して
ライフスタイルが変化した、
この50年以内の事に過ぎないんだ。
まして、玄米ではなく白米になってるよね、今」 |
|
鳴島
「そうなんですかぁ!?
てっきり2000年近く、お米ばっかり食べているものかと」 |
|
光一
「その思い込みは『創られた伝統』だね。事実じゃない。
歴史学的には、故人だが、網野善彦氏が
農耕民・稲作・米文化中心だとされる日本史は誤りであると提唱されていたね。
網野史学とも言うべき体系だが…………
日本は、採取・狩猟・漁労に長らくウェイトがあった社会だったと。
と、この半世紀で日本人は炭水化物をメインに据え、
同時に糖分も過剰摂取するようになった」 |
|
清香
「ケーキとかの洋菓子、戦前に食べていた人は
そんなにいなかったはずですもんね」 |
|
光一
「洋菓子に限らなくても良い。
日常的に多くの人が口にする、ジュースはどうだい?
缶コーヒーに一体どれだけの砂糖が入っていると思う?
アクエリアスやポカリスウェットにどれだけ砂糖が入ってる?
適当にコンビニで買ってしまうお菓子に、
一体どれだけの砂糖が入っていると思う?
日常的に砂糖漬けにされているんだよ……
この糖質の過剰摂取については、
次回に『低血糖症』という事で触れるから、
今日はこれ以上深く入らないでおこう」 |
|
鳴島
「じゃあ、話を戻すとして…………
結局のところ何を食べるべきなんですかぁ?」 |
|
光一
「さっき、脳内神経伝達物質の話をしたよね?
どの伝達物質も、『タンパク質を主原料』とし、
『脳内でビタミン・ミネラルが関与して合成』されるんだ」 |
|
清香
「そこに『栄養療法』の解決方法があるということですね」 |
|
光一
「先ほどの脳内神経伝達物質で具体例を挙げよう。
まず、いずれにしても主原料は『タンパク質』。
『ノルアドレナリン』はビタミンCや銅が必要。
『ドーパミン』『GABA』は合成過程にビタミンB6が必要。
『セロトニン』は葉酸・ナイアシン・鉄・ビタミンB6が必要。
これらのビタミン群やミネラル群が十分摂取されていないと、
『セロトニン』の分泌量が減少するわけだ」 |
|
清香
「『セロトニン』の分泌量が減ってくれば、
うつ病の原因となってしまう」 |
|
光一
「しかも現代社会はストレスが非常にかかる社会だ。
競争社会・先の見えない社会・人との関係が希薄な社会。
脳内の神経伝達物質が十分に合成できない食生活となり、
さらにストレスがかかれば、うつ病患者は増えるし、
なかなか治るのも難しいよね」 |
|
鳴島
「つまり、うつ病の解決のためには栄養的には、
タンパク質とビタミン豊富な食生活に改めるべき……
という事なんですね?」 |
|
光一
「そういう事だね。
炭水化物を排除し、糖分も排除しよう。
社会は確かに豊かになって、多くの人は食べ物に困っていない。
ただし、満ち足りているのはカロリーだけで、
ビタミン・ミネラルなど、
微量栄養素は十分に摂取されていない。
タンパク質だけ摂取してもダメなんだ」 |
|
清香
「自分もそうですけど、多くの家庭…………
白米ご飯やパン、麺類、砂糖が中心の食生活ですね」 |
|
光一
「だからこそ、相対的に脳に必要な
タンパク質・ビタミンなどの摂取量が減少しているんだ。
栄養素の不足が慢性化すると、
脳内の神経伝達物質の合成が妨げられて、
精神面でのアンバランスに繋がってしまうわけだ。
『栄養療法』が『うつ病の原因は食べ物にある』
と説くのは、そのためなんだね」 |
|
鳴島
「なるほど」 |
|
光一
「現代社会があまりに忙しく、
食事にしっかり時間を割けないというのも、
簡単に摂取できる炭水化物中心食卓に
シフトさせていると言えるよね。
夜遅くまで残業で、おにぎり片手に頑張る人……
あるいはカップ麺で出来るだけ食事時間を減らす人、
今の社会では珍しくも無いよね?」 |
|
清香
「そうですね。朝・昼・晩、いずれも
おにぎりやサンドイッチ、カップ麺ばっかりって人、
結構多いですよね」 |
|
光一
「日本でコンビニが24時間営業になり、全国展開され、
おにぎり、カップ麺やサンドイッチなど、
簡易な食事がどこでも提供されて
自然なものになってしまった事も大きいだろうね。
これらはいずれもこの30年程度の事なんだ。
私が子供の頃なんて、コンビニ自体がほとんど無かった」 |
|
鳴島
「確かに……スーパーに寄れば、食材をそろえて、
しっかり料理もしますけどぉ…………
コンビニがあれば、時間を惜しんで
簡易な食事を選択しがちですよねぇ。
まして、深夜残業などになると、
スーパーも開いていませんしぃ」 |
|
光一
「しかも、頭が疲れるというので、
チョコやケーキなどのスイーツと呼ばれる
甘い物がもてはやされて、どんどん売れるわけだ。
糖分の過剰摂取になってしまい、
やはり、タンパク質・ビタミン・ミネラルが
どうにも追いやられてしまっているね。
今日既に2回述べたけど『低血糖症』という、
うつ病と症状が類似する、
別の疾患を生みかねないんだが。
まあ、それは次回の話にしよう」 |
|
鳴島
「じゃあ、次回は、具体的に何の話をしますかぁ?」 |
|
光一
「今日は『栄養療法(オーソモレキュラー)』の存在についてと、
うつ病と脳内の神経伝達物質の関係、
脳内の神経伝達物質の合成過程について話をしたからね。
次回は、具体的にどういう食べ物を摂るべきか。
また、栄養不足である事をどう判定すべきか。
また、うつ病と類似する症状を持つ『低血糖症』
これらについて話をする予定だよ。
栄養の話はこの2回でとりあえず……にしよう」 |
|
鳴島
「はーい♪」 |
|
光一
「と…………
今日からサイトTOPのイラストに使わせて貰ってるんだが、
綾香君のイラストをいただきました!!」 |
『鳴島綾香イラスト……MS06-S』
※縮小前は上記ページにあります
(at様より)
|
|
光一
「atさん、ありがとうございました!!
優しい視線の綾香君で、
カフェのウェイトレスというかは、
保育園の保育士さんみたいです♪
ちなみに、イラストを見た私の嫁も絶賛でした♪」 |
|
鳴島
「まさに、私そのもの、ありがとうございますぅ!!」 |
|
清香
「仕事をさぼって、
盗み食いをしている人のセリフとは思えないけど」 |
|
鳴島
「なあっ!?」 |
|
光一
「なおかつ、
『MS-06S』と……指揮官専用ザクUの刺繍入り、
赤いエプロンから、『赤い彗星のシャア』を連想させるあたり、
遊び心まで満載されております!!」 |
|
清香
「ともあれ…………」 |
|
光一&鳴島&清香
『ありがとうございました!!』 |