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鳴島
「まず、マスターの思考がおかしいと思いますぅ」 |
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光一
「会話開始早々に、
いきなりなんだね!?」 |
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鳴島
「街中で会った女子高生を
『襲っても良いよね♪』って考えるなんて、
まず、思考回路がおかしいですよねぇ」 |
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光一
「そこだけ話題を抽出するなよ!
私、完全に変質者じゃないかね!?」 |
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清香
「いや……コンテンツ全体を見ても、
そうとしか思えないですけど」 |
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光一
「清香君までも!?」 |
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鳴島
「さて、マスターの日記から、
マスター自身が変態である事は
しっかりと立証出来たのでぇ」 |
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清香
「今日は何の話をしましょうか?」 |
|
光一
「ホントに君たちは私の話を無視するよね?」 |
|
鳴島
「で、何の話をするんですか?」 |
|
光一
「……………………
今日は『依存症』の話に触れる事にしよう」 |
|
清香
「『依存症』は2回目ですね。
1回目は依存症について、
『分類・原因・克服過程』
そんな話をしていましたね」 |
|
光一
「まあ、『依存症』と銘打ったけど、
精神疾患全体について
それなりに当てはめられる話をしようかと。
また、会社でも家庭でも良いのだけど、
人に接する時に参考にして欲しい……
そんな話題をしようと思う」 |
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鳴島
「で、何を観点にするんですかぁ?」 |
|
光一
「『ディスカウント』が今回の観点」 |
|
清香
「『ディスカウント』?」 |
|
鳴島
「あの……『ドン・キホーテ』とかの、
安売り店の事ですかぁ?」 |
|
光一
「経済的観点で言うと、それだよね。
簡単に言えば、品物を標準的な値段ではなく、
値引きして販売するお店だね」 |
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清香
「でも、話は経済じゃなくて、
精神疾患での話ですよね?」 |
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光一
「『ディスカウント』=『値引き』という点で同じ」 |
|
鳴島
「というとぉ?」 |
|
光一
「心理学的な用語で『ディスカウント』とは、
【1】自分の価値を値引きする事
という意味なんだが、精神疾患的には、
【2】相手の価値を値引きする事
という意味合いも含まれてくる」 |
|
鳴島
「うーんと……どういう事でしょうかぁ?」 |
|
光一
「例えば…………
綾香君はいつも仕事中にお皿を割るよね?」 |
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鳴島
「うぐっ…………そ、それはぁ……」 |
|
光一
「ウチで働き出して10年目なのに、
ウェイトレスとしてどうしようもないなあ」 |
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鳴島
「ぐっ…………」 |
|
清香
「隠れて店の品物を盗み食いするし、
これも注意しても止めないもんね、お姉ちゃん」 |
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鳴島
「あぅ〜…………」 |
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光一
「ホント、
綾香君には注意してもどうしようもないし、
注意なんてする意味なんてないねえ」 |
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鳴島
「あがぁ〜…………」 |
|
光一
「と、これが一種の『ディスカウント』なんだ。
最後に私が言ったセリフが該当するんだ」 |
|
清香
「というと?」 |
|
光一
「つまりは、
『相手の価値を値引く事』を言うんだよ。
『相手はこんなモンだ』と決めつける事。
今の例で言うとどうだろうね?」 |
|
清香
「お姉ちゃんがウェイトレスとして失敗ばかり。
でも、注意しても直らないし、
もう、どうでもいいや…………
って、放置しちゃった事ですかね?」 |
|
光一
「そういう事だね」 |
|
鳴島
「ちょっとぉ!!
なんで私をそんな例に使ってるんですかぁ!」 |
|
清香
「まあまあ、仕方ないじゃない」 |
|
鳴島
「なあっ!?」 |
|
光一
「簡単に言ってしまうと『ディスカウント』とは、
『人格否定』でもある。
『相手の価値を値引く』のだからね。
『相手はこの程度しか出来ない』
『この人には話しても分かってもらえない』
と、相手を勝手に決め付けてしまうんだね」 |
|
清香
「なるほど」 |
|
鳴島
「そんな事説明するのに、
私を使ったんですかぁ!?」 |
|
光一
「今回の話である『依存症』について言えば、
『依存症』の中には『ディスカウント』をする
そういう構造があるんだ」 |
|
鳴島
「どういう事ですかぁ?」 |
|
清香
「あ、ちなみに今までの精神疾患シリーズは、
うつ病:『(その1、その2、その3)』
依存症:『(その1)』、
強迫性障害:『(その1)』、
不安障害:『(その1)(その2)(その3)』、
栄養療法:『(その1)(その2)』
以上10回で、今日が11回目です」 |
|
光一
「例えば一番分かりやすい、
『アルコール依存症』で考えよう」 |
|
鳴島
「はい」 |
|
光一
「ただし、『依存症』で扱っているけど、
他の精神疾患の人や、
そういう患者を抱える家族・友人・会社の方も、
ぜひ参考までに聞いてもらいたいんだ」 |
|
鳴島
「で、『アルコール依存症』を引き合いに出すと、
『ディスカウント』はどう説明できるんですかぁ?」 |
|
光一
「まず、2人の立場に分けて考えよう。
【A】『アルコール依存症』の本人。
【B】その家族だ。
今回は、依存症患者を夫。家族を妻としよう」 |
|
清香
「はい、で、どういう話ですか?」 |
|
光一
「まず、前置きとして言っておくけど、
人間は社会で生きていると、
どうしても色々な事に思い悩むよね?」 |
|
鳴島
「そうですねぇ」 |
|
清香
「お姉ちゃんは、
何も悩んでなさそうだけど?」 |
|
鳴島
「なんでよぉ!?」 |
|
光一
「色々葛藤する事があるわけだが、
葛藤自体は悪い事じゃない。
むしろ、誠実さの証なんだ」 |
|
鳴島
「何でですかぁ?」 |
|
光一
「葛藤は答えを見つけ出そうとする、
その作業そのものだから」 |
|
清香
「言われてみればそうですね」 |
|
光一
「で、『アルコール依存症』の話に戻そう。
社会で色々なストレスが重なっていくと、
最初は解決策を見つけ出そうと、
頑張って葛藤するものだし、
人と話し合おうとするものなんだ」 |
|
鳴島
「そうですよねぇ」 |
|
光一
「ところが、ストレスが過重になったり、
なかなか解決しない事が重なっていくと、
葛藤する事、話し合う事が出来なくなってくる」 |
|
清香
「そのためのエネルギーが切れてきた、
そういう事ですよね?」 |
|
光一
「そう。こういう時に適度な休息や、
周囲のサポートがあれば良かったのだけど、
そうでないと、本人はどんどん追い込まれる。
結果として、葛藤出来ない人になり、
周囲の人と話し合う事も出来なくなる」 |
|
鳴島
「うーん、なるほど」 |
|
光一
「こういう時にお酒に出会ってしまう。
酒が入って気分が楽になると……
どうなると思う?」 |
|
清香
「苦しい気持ちになるたびに、
お酒を飲むようになるのでは?」 |
|
光一
「そう。お酒で気分を楽にして、
問題解決を先送りしてしまうんだ」 |
|
鳴島
「それ、積み重なると…………
『アルコール依存症』になりませんかぁ?」 |
|
光一
「そうだよ。
これが『アルコール依存症』になる過程だ。
元々、生真面目な人ほど、
問題に誠実に向き合い続けて疲れた結果、
『アルコール依存症』に陥りやすい。
真面目だった人が、いい加減な人になってしまう」 |
|
清香
「なるほど…………
で、今日の観点の『ディスカウント』は、
どういうところに入るんですか?」 |
|
光一
「まず、周囲と話し合いをしないんだね。
家族関係で言うとこうなる。
『どうせ妻に言っても、
俺の苦しさは分かってくれない』
これは『ディスカウント』に当たらないかい?」 |
|
清香
「【2】相手の価値を値引きする事
って部分に当たりますよね?」 |
|
光一
「そう。何故かと言えば…………」 |
|
鳴島
「奥さんの価値を低く見ているんですよね?
どうせ話し合っても分かってくれない、
解決なんて出来ないんだと…………」 |
|
光一
「そうだね。つまり『ディスカウント』は、
依存症などの精神疾患に罹った際に、
周囲の人の価値を低くみてしまって、
サポートを受けられなくなる事をも、
意味しているんだね」 |
|
鳴島
「なるほど…………」 |
|
光一
「『ディスカウント』を一言で言い表すと
『まあ、いいか…………』って言う心理」 |
|
清香
「『まあ、いいか…………』?」 |
|
光一
「『まあ、いいか……話してもしょうがない』
など、具体的な言葉を入れてみると分かる。
『まあ、いいか……』という言葉は、
相手の価値を低く見ている事だ」 |
|
鳴島
「なるほど」 |
|
光一
「『アルコール依存症』の人は、苦しいんだよ?
周囲の人は「酒好き」とかそんな風に思うかもだが、
心の問題を解決出来ないからこそ、
お酒にしか生きる方法を見つけられないんだ。
『お酒なんて飲みたくない、
飲んでも問題の解決にならない!』
って分かっているのに、飲んでいる事が多い」 |
|
清香
「それだと、苦しさだけが増していって、
ますますお酒の量が増えますよね」 |
|
光一
「うん。まあ、こうして
自分の前の問題が見えなくなる……
これを『ディスカウント』と言うんだね。
自分の価値さえ、低く見てしまうんだ」 |
|
鳴島
「で、それが『依存症』患者…………
精神疾患になっている人の方から見た
『ディスカウント』ですよねぇ?」 |
|
清香
「家族・友人の側…………
この場合、『アルコール依存症』の夫の妻、
こちらから見た『ディスカウント』とはなんですか?」 |
|
光一
「『アルコール依存症』の夫がいて、
その妻の立場、じゃあ考えていこう」 |
|
鳴島
「はい」 |
|
光一
「例えばこの場合、妻が
『お酒なんて止めて!』って言ったとして、
しかし依存症の夫が止めないとしよう」 |
|
鳴島
「はい」 |
|
光一
「そうした時に妻の対応は以下の2点に分かれる。
【1】健全・誠実な対応心理
【2】不健全・不誠実な対応心理」 |
|
清香
「というと、どういう事でしょうか?」 |
|
光一
「【1】の場合は簡単に言えるね。
夫がお酒を手放すまで、何度でも
あきらめないで説得を続ける。
一緒に医療機関を探して、
治療のために関わり続けてくれるケースだ」 |
|
清香
「なるほど」 |
|
光一
「つまり、【1】の場合の
対応心理の根底はこうなんだ。
『話せば、いつか必ず分かってくれる』
『話し合いで分かりあえない人なんて、いない』」 |
|
鳴島
「相手に対する信頼感が、
揺るがないって事ですかねぇ。
前向きな心理構造ですねぇ」 |
|
光一
「【2】の場合の妻の対応は、
これは夫に対する『ディスカウント』になる」 |
|
鳴島
「つまりアレですかぁ?
『どうせ、お酒止めてって言ってもムダ。
自分が言っても聞いてくれない』
って、奥さんが思っていると」 |
|
光一
「そう言う事だね」 |
|
清香
「夫の価値を低く見積もっている……
そういう意味では『ディスカウント』ですね」 |
|
光一
「『依存症』になった人間に1度や2度、
言った程度で治るわけはないのだけどね。
対話の回数はそれこそ相当数必要だし、
医療機関に一緒に行く事も大事だ。
精神疾患の人は、自分の状況について、
冷静に医者に話す事も、最初は困難だから」 |
|
鳴島
「あ、言われればそうですよねぇ…………」 |
|
光一
「そう。この場合、妻側の方も、
そういう心理に育ってしまった
生育環境に問題があるだろうね」 |
|
鳴島
「というと?」 |
|
光一
「普通はだよ、健全な家族なら、
一度言った事を否定されたからって、
大事な家族だろ?
何度だって説得を続けるものじゃないか?
問題解決の糸口を探すものじゃないか?」 |
|
清香
「それを、『お酒は止められない』って
一度相手から否定されたからって、
それ以降ずっと
『話しても仕方がない』ってあきらめたら、
確かに……おかしいですよね」 |
|
光一
「大事な事は、大人……家族に余裕がある事。
きっと、【1】の対応をした妻というのは、
育ってきた家庭に余裕があって、
親同士が誠実に対応していた家庭なんだね」 |
|
鳴島
「【2】の対応をしてしまった奥さんは、
どうなんですかねぇ?」 |
|
光一
「考えられるのは、【2】の対応をした妻。
彼女が育ったかつての家族は、
親同士が感情的にぶつかりあっている、
そのせいで子供時代に、
自分の心配事……学校でいじめられたとか、
そういう事を話せなかった環境だったのかもね」 |
|
清香
「どういう事ですか?」 |
|
光一
「前回、生育過程の重要性、話したよね?
親に余裕が無い、ケンカばかりしている、
母親が父親の愚痴ばかり言っている、
父親は仕事ばかりで家庭を顧みない、
こうした場合、子供はどうだろうね?」 |
|
鳴島
「うーん…………
あんまり健全には育たないかと」 |
|
光一
「そうだね。こういう場合、
子供は自分が心配事を抱えていても、
親に相談できないんだ…………
というよりも、しないんだよ」 |
|
清香
「親に心配事を相談しない?」 |
|
光一
「『親に心配をかけないようにしよう!』
と、心理的に強化されているからだよ」 |
|
鳴島
「それは、親が感情的にぶつかってばかり、
互いの愚痴ばかりを言っている…………
そこに自分の心配なんて入り込ませたら……」 |
|
清香
「子供がこんな心配事抱えているのは、
『お前のせいだ!』『いいや、アナタのせい!』
と、親が互いを互いにまた、
感情的に責任論をぶつけあったり、
余計に心配や愚痴を言いかねないから……
と、そういう事ですか?」 |
|
光一
「もっと酷い例だと、
親に相談をした時に、親が
『お前が悪い!』『そんな余裕はないんだ!』
と、子供に感情的にあたってくる、
子供の不安を拒絶する…………」 |
|
鳴島
「そういう生育過程を持っていると、
子供はどうなりますかねぇ?」 |
|
光一
「先ほどの【2】の対応をする妻、このタイプに育つ。
つまり、親に対してもそうだったのだから、
『自分が何か言っても意味が無い。
相手は何も分かってくれない』
こういう心理強化をされて育ってくるね」 |
|
清香
「まさに相手を『ディスカウント』する人になると」 |
|
鳴島
「逆に【1】の対応をする奥さん……
『相手が分かってくれるまで話す』
って人は、そういう育ち方をしなかった。
そういう事ですかねぇ?」 |
|
光一
「そう。子供時代に、
『人が話せば聞いてくれる、分かってくれる』
こういう生育環境が重要なんだね。
『ディスカウント』しない人間になるためには」 |
|
清香
「なるほど」 |
|
光一
「『相手が自分の話を聞いてくれない』
って公式を持っている場合、
相手が自分の話を聞いてくれないと、
相手を『ディスカウント』してしまうんだ」 |
|
鳴島
「つまり…………
『相手の価値はこの程度、低いんだ』
と、勝手に決め付けて、
それ以降の話し合いをしないわけですね」 |
|
光一
「そういう事。
しかも、生育過程の話をしたよね?
もし、こういう家庭に子供がいたらどうなる?」 |
|
鳴島
「あっ!!」 |
|
清香
「先ほどの『ディスカウント』するようになった人、
その人の生育環境そのものな気がします」 |
|
光一
「しかも【2】の妻のように、
『自分が言っても分かってくれない』
って考えている人は、不満を常に抱えている。
不満はいつか、『怒り』として爆発するんだ。
こうして『アルコール依存症』の夫と、その妻が、
時折感情的にぶつかりあうようになる。
その光景が日常化するわけだね」 |
|
鳴島
「そうすると、それを見ている子供は、
『親に余計な心配をさせてはいけない』
『何も親に悩みを話してはいけない』
って、こういう心理強化を受けますよね?」 |
|
光一
「しかも、ますますマズイ事に、
『依存症』が長期化すると、
『相手がいけないんだ!』
だから、
『どうにもならないんだ!』
って思うようになっていくんだ」 |
|
清香
「つまり、今回例にしている『アルコール依存症』では、
夫は『妻に話してもこの苦しさは分からない』
『だから、この状況は妻もいけないんだ!』
ってなるし…………」 |
|
鳴島
「妻からすれば、
『夫は私の言う事なんて聞いてくれない』
『だから、今の状況は夫のせいだ!』
ってなってしまうんですねぇ」 |
|
光一
「そう。つまり、
互いに互いを『ディスカウント』している。
ここに、夫・妻以外に子供がいるとどうなるか……」 |
|
鳴島
「先ほどまで述べたように、
子供は家庭で何も話さなくなる……
いわば、生真面目で優等生みたいになる、
というか、ならされてしまう?」 |
|
光一
「もちろん、それもあるんだが…………」 |
|
清香
「他に何か?」 |
|
光一
「この場合、『アルコール依存症』の夫を
ディスカウントしている妻は、
子供にどう接するだろうね?」 |
|
鳴島
「うーん…………例えば愚痴じゃないですかぁ?」 |
|
光一
「具体的には?」 |
|
鳴島
「『お父さんはダメな人間だから、
アナタが良い人間になる事を、
お母さんは強く期待しているからね!』
って、こんな感じになりませんか?」 |
|
清香
「夫への不満と『ディスカウント』が転化して、
子供への過剰な期待になるんですね」 |
|
光一
「そう、良い推理だね。そうなりがちなんだ。
そうすると、子供は当然ながら、
『互いにディスカウント』している両親には、
何も悩みを打ち明けられない。
出来るだけ良い子でいようとするわけだ」 |
|
鳴島
「なんか、変な家族関係ですよね?」 |
|
清香
「本当なら親が子供を支えるのに、
子供が親を支えているみたい」 |
|
光一
「そう、この場合子供の心理としては、
『ボク(ワタシ)がしっかりして、
家族崩壊を止めなくちゃ!』
って、こうなってしまう。
そうして育った子供は…………」 |
|
清香
「『相手に自分の事を言っても、無駄、
相手は自分の事を分かってくれない』
という、『ディスカウント』を持った、
そういう大人に成長しますよね?」 |
|
鳴島
「今までの話だと、
完全にそうなりますね…………
あれ!? そうしたら、
場合によっては精神疾患が、
次の世代に引き継がれませんか!?」 |
|
光一
「その通り。だから、生育環境は重要なんだ。
この場合……典型的で分かりやすいから、
取り上げたんだけれどもね…………
『アルコール依存症の家族は循環する』
そういう事が往々にしてあるんだ。
『ディスカウント』の心理構造が、
強く引き継がれてしまうからだね。
こういう状態なのを『機能不全家族』と言うんだ」 |
|
清香
「『依存症』に限りませんけど、
互いの価値を低く見る『ディスカウント』、
これ、気を付けないといけないですよね」 |
|
鳴島
「家族間でもそうですけど、
仕事なんかでも…………
部下の立場なら、
『上司は何を言っても分かってくれない』
上司の立場なら、
『部下は何を言っても分かってくれない』
ってこうなってしまうと…………」 |
|
光一
「どこかで破たんするわけだ。
そうすると、精神疾患になる場合もあるし、
人間関係が壊れたり、
社会的にも家庭的にも問題が起きる」 |
|
清香
「『ディスカウント』……厄介ですね」 |
|
光一
「だからこそ、
相手や自分を『ディスカウント』する人は、
自分がそうしていないか、
立ち止まって考えて欲しい。
『相手の価値を低く見ていないか?』
『自分の価値を低く見ていないか?』
そうした気付きを起こせると、
『自覚』から『認知』『行動』へと、
転換してくことが出来る」 |
|
鳴島
「『依存症』もそうですが、
その他の精神疾患についても、
治療の有効な観点に、
『ディスカウント』の気づき、克服、
これが出てくるわけですねぇ」 |
|
清香
「それと、家庭経営や、会社での人間関係でも、
相手を『ディスカウント』しない事…………
『対話を続ける努力を惜しまない事』
これが重要な事ですね」 |
|
光一
「前回話した、『言語化』も絡むけど、
そういう事だね。
『まあ、いいか……相手はどうせ』
なんて考えない、思わない。
相手の評価を低くして、
相手の人格を責める事は止めよう」 |
|
鳴島
「それでは、今回の『依存症』の話については、
『ディスカウント』の観点から、
生育環境・過程まで含めて、
話し合いが重要である…………
と、そういう事ですねぇ」 |
|
光一
「うん、そういう事で、
今日のところは、話を終わりにしよう」 |
|
鳴島
「はーい♪」 |